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( ^ω^)とξ゚?゚)ξが愛のあるセクロスをするようです。4

夜の住宅街の薄暗い路地を歩く二人の姿を、街頭が照らしている。
灯りに浮ぶふたつの影は、仲良く並んで大きく揺れ動く。
恥ずかしさもあってか、並んで歩く二人が交わす言葉は少ない。

もうすぐ6月といえど、夜になればぐっと冷え込む。
特にこの街には冷たい海風が吹き込むから、7月になっても気温が10度代なんてことはザラだ。

ξ゚?゚)ξ「やっぱり夜は寒いねー」

( ^ω^)「風もつおいお」

ツンの家へ向かう二人は、冷え込んだ空気が包む夜の路地を少し肩を縮めて歩いていた。
空の向こうで、ゴオという風がうなる音が聞こえた後、冷たく湿った風が二人に吹き付けた。

ξ゚?゚)ξ「うっ・・・さむっ」

( ^ω^)「大丈夫かお?俺のジャケット貸すお」

ブーンは自分のジャケットを脱ぎ、ツンの肩にかけた。

ξ゚?゚)ξ「・・・・ありがと。あんたは大丈夫なの?」

( ^ω^)「俺は平気だお。寒さにはつおいお」

遠くでまた風がうなる音が聞こえた。
等間隔で並ぶ街頭の間に、自動販売機の明かりが見えた。

ξ゚?゚)ξ「ブーンちょっと待ってて」

ツンは自販機に向かって走り出し、温かいコーヒーとミルクティーを買ってブーンに差し出した。

ξ゚?゚)ξ「どっちがいい?」

( ^ω^)「どうせコーヒーが俺のだお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・残念!」

( ;^ω^)「?」

ξ゚?゚)ξ「今日は私がコーヒーを飲みます」

(;^ω^)「ちょwwwwwww」

そう言ってツンは缶コーヒーのプルタブを開け、一口飲んだ。

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・・」

ξ;゚?゚)ξ「 ま ず い 」

(;^ω^)「飲めないに無理するからだお。口直しにこっち飲むお」

ブーンは紅茶のペットボトルの蓋をあけ、ツンに差し出す。
ツンはそれを受け取ると、すぐにごくごくと飲んだ。

ξ*-?-)ξ「はぁー、おいしー」

ツンは左手に持っていた缶コーヒーをブーンに私、またミルクティーを一口飲む。
ブーンも、ツンに手渡されたコーヒーに口をつける。ブーンがいつも好んで買っているコーヒーの味だ。

(;^ω^)「なんでコーヒーなんか飲んだんだお」

ξ゚?゚)ξ「うるさいわね。コーヒー飲めるとなんか大人っぽくてかっこいいじゃない!」

( ^ω^)「それって俺がカコイイってことかお?」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・」

(*^ω^)「ktkrwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「ばかじゃないの?」

(;^ω^)「・・・」

ξ゚?゚)ξ「ばーか」

そう言ってツンはミルクティーを飲みながら歩き出した。
ブーンが慌てて追いかける。離れていた二人の肩が、また並んだ。

この道を、二人で再び歩くことができるなんて思わなかった。
あの時と同じ夜の道。同じ相手。同じ缶コーヒーとミルクティー。
ただ違うのは、二人の関係。そして、お互いを想い合う気持ち。

あの時、ツンの過去を知ったブーンは、ツンに手を差し伸べることができなかった。
それどころか突き放す結果になってしまった。
その時のブーンにはそうするしかできなかったし、手を差し伸べたところでツンの心の傷を受け入れることができるかどうか分からなかった。

でも、今は違う。
今はツンの全てを受け入れられるし、何よりもツンのことが心から好きなのだ。
小さな体で一生懸命毎日明るくふるまうツンの手助けをしてあげたい。
自分がそばにいることで、ツンの傷が癒されるのなら、それは自分にとって大いなる喜びだ。

( ^ω^)「ツン」

ξ゚?゚)ξ「なに?」

( ^ω^)「ツンのこと、ほんとに大事にするお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・え?」

( ^ω^)「大好きだお」

ξ///)ξ「はっ、はあ?急に何言ってるのよ」

( ^ω^)「照れ隠しカワユスwwwwwww」

ξ///)ξ「ばかじゃないの!」

そう言ってツンはブーンのみぞおち目掛けて一撃をくらわせた。

(;^ω^)「ぐおっ・・・!?」

その痛さに、ブーンは思わず腹をかかえてその場にうずくまった。

(;^ω^)「愛の鉄拳だお・・・」

ξ゚?゚)ξ「まだ言ってる・・・」

ツンは、はい、と言ってブーンに手を差し出した。
ブーンはその手を握って立ち上がる。

( ^ω^)「フヒヒ!」

ξ゚?゚)ξ「何よ?いい加減離しなさいよ」

( ^ω^)「手、つないだままでもいいかお?」

ξ*゚?゚)ξ「は?」

( ^ω^)「ツンの手冷たいお。俺があっためるお」

ξ///)ξ「・・・・・・・・っっ」

ブーンの手に伝わるツンの体温が急激に上昇していく。
二人の姿は街頭に照らされては暗闇に消え、また街頭に照らされては暗闇に消え、を繰り返していった。

翌日の土曜日、いつものようにブーンは自販機の補充作業をするために移動中のトラックの助手席に座っていた。
午前の補充を終え、午後は市街地にあるスーパーの売場点検に行かなければならない。
その前に飯でも食うかとギコが言い、二人は国道沿いのファミレスに入った。

食事を取り終え、ギコがタバコを吸っている。
ブーンは水をひとくち飲んで、ギコに話し掛けた。

( ^ω^)「ギコさん、実は彼女ができたお」

(゚Д゚)「ええ!?マジでか!!??」

ギコはタバコを吸う手を止め、水を一口飲んだ。

(゚Д゚)「もしかして、前話してた、近くにいるってコか?」

( ^ω^)「そうだお」

(゚Д゚)「すげええええええ!!!!良かったじゃん!!!!!!!!!!
    おめでとー!!!!!!!」

( ^ω^)「ありがとうだお」

(゚Д゚)「そっかー、お前にも彼女がなー。なるほどねー」

ギコは再びタバコを吸い、煙を深く吐くと、タバコを灰皿に押しつけた。

(゚Д゚)「彼女の写真とかねーの?」

( ^ω^)「うーん・・・卒業式の日にみんなで撮ったのなら・・・」

そう言ってブーンは携帯を取り出し、画像を表示させてギコに見せた。

( ^ω^)「この、俺の隣にいるコだお」

(゚Д゚)「この二つ結いの?・・・・・・・・これじゃああんまよく見えねーよ。下向いてるし」

(;^ω^)「でもこれしかないお。写真嫌いみたいで、カメラ向けても撮らせてくれないお」

(゚Д゚)「まぁ、いつか撮ったら見してよ」

( ^ω^)「わかったお」

(゚Д゚)「それにしてもめでたいなー。
   よーし分かった!ここは俺のおごりだ、たんと食え!!!!」

(;^ω^)「ちょwwwwお腹イパーイだおwwwwwww」

ギコがまるで自分のことのように祝福してくれて、ブーンはとても嬉しかった。
良い上司に巡り合えたと、ブーンは心から思った。

それにしても、”彼女”という響きにとても新鮮さを感じる。
今までそういった存在がいなかったせいもあるが、ツンが自分の彼女になる日が来るなんて。

その日、夜7時頃にバイトが終わったブーンは、ツンにバイトが終わったことを告げるメールを入れた。

( ^ω^)(ツンはきっと9時半にバイトが終わるお。その頃に電話するお)

彼女に、初めてする電話。
どんなことを話そうか。とてもわくわくする。

家に帰ると、既に母が帰宅しており、夕食の準備がされていた。
ブーンは夕食を取り、テレビを見て風呂に入り終えると、時刻は9時半を過ぎたところだった。
急いで髪を乾かし、部屋に入り携帯を見ると、ツンからバイトが終わって帰宅したことを告げるメールが入っていた。

( ^ω^)「うはwwwwグッドタイミングだお」

トゥルルル・・・トゥルルル・・・

ξ゚?゚)ξ「はい、もしもし」

(*^ω^)「あっ、ツンお疲れ様だお」

ξ゚?゚)ξ「うん、おつかれー」

(*^ω^)「晩御飯は食べ終わったかお?」

ξ゚?゚)ξ「バイト先で済ませてきた」

(*^ω^)「そうかお」

ξ゚?゚)ξ「ねえ、ブーン」

(*^ω^)「なんだお?」

ξ゚?゚)ξ「あんたって今なんの仕事してるの?」

(;^ω^)「え・・・・・・・・」

(;^ω^)「あれ、言ってなかったかお?」

ξ゚?゚)ξ「うん、聞いてない。就職全部だめだったってことは卒業式の日に聞いたけど」

(;^ω^)「そうだったかお・・・?」

ブーンは、ドクオとの会話を思い出した。
そういえば、自分の今の仕事についてツンとの会話に出てこなかったので、
今度聞かれたら言おうと思っていたが、結局今の今まで話題にのぼることはなかったのだ。

( ^ω^)「今は微糖園でバイトしてるお」

ξ゚?゚)ξ「ふーん。週休何日?」

(;^ω^)「週休・・・というか、土日と祝日だけやってるお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・え?」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「平日は何してるの?」

(;^ω^)「おうちにいるお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・」

(;^ω^)「・・・・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「それは良くない!!!!!」

(;^ω^)「・・・・」

ξ゚?゚)ξ「あんたねー、今時ドクオでさえコンビニの夜勤やってるってのに、
      それじゃあほぼ無職じゃないの!」

(;^ω^)「平日は確かに・・・」

ξ゚?゚)ξ「付き合う前に確認しとくんだった・・・」

(;^ω^)「・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「悪いけど、本来の私は学生でもないのにちゃんと働いてない人とは付き合わないんだから!」

(;^ω^)「じゃあなんてOKしたお?」

ξ゚?゚)ξ「それは・・・・・・ほら、色々あるじゃない!
      気持ちが先に出ちゃったってゆうか・・・・・・」

(;^ω^)「・・・・」

ξ゚?゚)ξ「とにかく、これからはちゃんと働いてもらわないと」

(;^ω^)「わかったお。でも今すぐバイト辞めるわけには・・・すぐに新しい仕事見つかるかわからないし」

ξ゚?゚)ξ「微糖園で雇ってもらうことはできないの?
      正社員になれなくても、契約社員とかパートとかでもいいから、
      せめて週休2日くらいにしてさ」

( ^ω^)「なるほどだお。聞いてみるお」

ξ゚?゚)ξ「生活費とかはどうしてるのよ?」

(;^ω^)「今は実家だから払ってないお」

ξ゚?゚)ξ「家にお金入れてないの?」

(;^ω^)「入れてないお・・・」

ξ゚?゚)ξ「週2日だけのバイトじゃ貯金もできないじゃない」

( ^ω^)「あ、それは大丈夫だお。あまり買い物しないから」

ξ゚?゚)ξ「あー、そういえばあんたあんまり物買わないわよね。
      貯金・・・・いくらあるの?」

( ^ω^)「えーと・・・・」

ξ゚?゚)ξ「あ、ごめん。言いづらいよね、無理して答えなくても・・・」

( ^ω^)「多分50万くらいだお」

ξ;゚?゚)ξ「ごじゅっ・・・・!?」

( ^ω^)「口座3つあるからちゃんと把握してないけど多分それくらいだお。
      あっ、郵貯にも10万くらい入ってるお」

ξ;゚?゚)ξ「へ、へぇ~・・・・」

(;^ω^)「でもやっぱり最近減ってきてるお。ちゃんと仕事するお」

ξ;゚?゚)ξ「うん、まぁ焦って適当に探すよりは、ちゃんとやりたい仕事したほうがいいけど・・・」

( ^ω^)「うんだお」

ξ゚?゚)ξ「とりあえず、微糖園でもうちょっと出勤日数増やしてもらえるなら、そうした方がいいと思うよ」

( ^ω^)「そうするお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・・・?」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・ごめんね」

( ^ω^)「?なんで謝るお?」

ξ゚?゚)ξ「なんかさ、こういうのって本人の問題だから、私が口出すのはおかしいんだけど・・・」

( ^ω^)「俺たちは付き合ってるんだお。なんでも言って欲しいお」

ξ゚?゚)ξ「私、ブーンとは真面目に付き合いたいと思ってるの。
     だから・・・・しっかりして欲しいなって思って、つい・・・・・・・」

( ^ω^)「ツン・・・・」

( ^ω^)「ツンのためにもしっかりするお。頑張るお」

ξ゚?゚)ξ「うん。でもあんま無理しないでね。ブーンにはブーンなりの考えがあるんだろうし」

( ^ω^)「心配かけてすまなかったお」

ξ゚?゚)ξ「ううん。ごめんね」

( ^ω^)「じゃあ明日もバイトあるし、そろそろ寝るお」

ξ゚?゚)ξ「わかった。頑張ってね。おやすみ」

( ^ω^)「おやすみだお」

電話を切り、部屋の電気を消してブーンは布団に入った。

それにしても女性はすごい。まだ高校生なのにとても現実的だ。
今の状態に疑問も感じずに働いてきた自分がすごく恥ずかしい。
女の人の方が精神年齢が高いって、こういうことだったのか。

( ^ω^)(ツンはちゃんと考えててすごいお。俺も見習うお)

明日ギコにバイトの日数を増やしてもらえないか聞いてみよう。
そう思いながら、眠りについた。

一方ツンは、部屋のベッドによりかかってうつむいていた。

ξ-?-)ξ「はー、なんで仕事のことまで口出しちゃうんだろ」

自己嫌悪。ツンの今の心を取巻く感情は、この一言に尽きる。
ブーンの人生だからブーンの自由にするのは百も承知だが、やはり付き合うとなると別問題だ。
親や友達に紹介する機会もあるだろうし、その時にブーンの職業は何かと聞かれた時
今の状態のままでは、ブーンだけでなく自分も恥をかくだろう。
社会人という道を選んだからには、それなりにしっかりして欲しかったのだ。

ξ゚?゚)ξ(まぁ、ブーンのことだからその点は大丈夫だよね。
     なんか知らないけど要領もいいし・・・相当就活してたみたいだし。・・・・・・・全部落ちたけど)

ツンがここまで神経質なのは、やはり過去の経験が起因している。
しかし、ブーンは打算的な考えではなく、心が惹かれるままに選んだ相手だ。
きっと信じられる。ツンはそう思っていた。

翌日、ブーンはいつものように出勤し、午前中は補充、午後は倉庫整理の作業に追われた。

( ^ω^)(どう考えても今のペースで働くのは、社会人としてありえないお・・・
     これじゃあ学生アルバイト並だお。
     やっぱりツンの言う通り、日数増やしてもらわないと・・・)

今の状態に満足していた自分が急に恥ずかしくなった。
もしこれで日数を増やしてもらえないとなると、辞めることも考えなくては・・・。
仕事が終わったら必ずギコに掛け合ってみよう。
ブーンはそんなことを考えながら、ひたすら飲料の入った重い箱を運び続けた。

やがて日が沈み、時刻は夜7時を回っていた。
ブーンは倉庫整理を終え、事務所へと向かった。

( ^ω^)「お疲れ様ですおー」

川`~`)||「お疲れ様ー」

そこには、今日は休みのはずの事務のかおりがいた。
いつもよりもカジュアルな格好でデスクに座り、パソコンを打っていた。

( ^ω^)「かおりさん、今日は休みじゃないのかお?」

川`~`)||「ちょっとやり残したことがあってね」

( ^ω^)「そうですかお」

ブーンは作業着を脱ぎ、ハンガーにかけた。
そして冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、ソファーに深々と腰掛けた。
どうやらギコはまだ戻っていないらしい。でももうすぐ戻るだろう。

ブーンはコーヒーを一口飲んだ後、ソファの隣のラックに入っている雑誌を手にとり、パラパラとめくった。
ギコが戻るまで何をしていよう。ただ待つというのも疲れるものだ。

その時、事務所の電話が鳴った。
すぐさまかおりが電話に出た。

川`~`)||「はい、微糖園でございます。・・・・・・・・あっ、ギコさん」

( ^ω^)(ギコさんから?珍しいお)

川`~`)||「ええ、ちょっとやり残した仕事があって・・・・・。
      ・・・・・・・・・・え?」

電話に出ているかおりの表情が急に変わった。
ブーンはそのただならぬ様子を察し、かおりをじっと見ていた。

川`~`)||「ええっ!!本当ですか!?そ、それで・・・?」

一体どうしたというのだろう。
電話の相手はギコのようだが、仕事の電話にしても様子がおかしい。
何か大変な事態が起こったのだろうか。

川`~`)||「はい・・・はい、では所長にはこちらから連絡して・・・・はい・・・」

(;^ω^)(一体どうしたんだお?)

何が起きたのか全く予想もつかない。
かおりは明らかに狼狽している。

川`~`)||「はい・・・はい、わかりました」

かおりはさらさらとメモを取り、青ざめた表情で受話器を置く。
ブーンはソファーから立ち上がり、かおりのもとへ向かった。

( ^ω^)「どうしたんですかお?」

川`~`)||「山田さんが・・・荷物の下敷きになって病院に運ばれたそうよ・・・」

(;^ω^)「ええ!!??」

山田とは、入社3年目の微糖園の社員で、ブーンとはそれほど仲が良いわけではなかったが、
何度かギコも交えて軽い世間話をしたことはあった。
愛想がいいわけでも悪いわけでもなく、「普通の人」という印象の強い人だ。

川`~`)||「怪我が相当ひどいみたい。
      とりあえず所長に連絡して、病院に行ってもらうことになったから」

(;^ω^)「そうですかお・・・今日はギコさんは山田さんと一緒だったんですかお?」

川`~`)||「いえ、たまたま事故現場を、ここに戻る途中だったギコさんが通りかかったらしくて・・・」

(;^ω^)「そうですかお・・・」

川`~`)||「とりあえず私はここに残ることになったけど、内藤くんはどうする?」

( ^ω^)「とりあえず俺は帰りますお」

川`~`)||「わかった。山田さんのことはギコさんから連絡いくと思う」

( ^ω^)「わかりましたお。ではお先しますお。お疲れ様ですお」

川`~`)||「お疲れ様」

そう言うとかおりは、受話器を取りボタンを押し始めた。所長に連絡するのだろう。
ここでやきもきしていても、ブーンにはどうすることもできない。とりあえずギコからの連絡を待つしかない。

ブーンは山田とは面識はあっても、あまり顔を合わせる機会もなかったし、会っても挨拶をする程度の仲だった。
心配はしているが、正直他のみんなほどのものでもない。
ブーンは夜の路地を歩きながら、いつギコに出勤日数のことを掛け合おうか、ぼんやり考えていた。

その日の夜、ツンに電話で山田のことを話し、今日は出勤日数を増やしてもらえるよう頼める状況になかったことを説明した。
ツンは、それなら仕方ないわね、と言った後に、「山田さん、大したことないといいね」と続けた。
ブーンはいまいちピンとこなかったが、とりあえず同意しておいた。

翌日、ブーンはキッチンの大掃除をしていた。
ガスコンロのコゲと格闘しているところに、ブーンの携帯が鳴った。

ピピルピルピピ~♪

(;^ω^)「はいだおー今出るおー」

手を軽く洗い、リビングに急いで向かう。
そしてテーブルの上に置いてある携帯を手にとった。

ピッ
( ^ω^)「もしもしだお」

(゚Д゚)「あ、内藤?俺」

( ^ω^)「ギコさん・・・昨日は大変だったようだお」

(゚Д゚)「ああ、山田のことなんだけどな・・・」

( ^ω^)「どうなりましたかお?大丈夫なんですかお?」

(゚Д゚)「それがなぁ、あんまり芳しくないんだよ」

(;^ω^)「えっ・・・」

(゚Д゚)「あいつ一人で補充作業してて、トラックから荷物降ろすときにコンテナの下敷きになったらしいんだ。
    んで肋骨とか手首とかイッちまって・・・全治3ヶ月だそうだ」

(;^ω^)「3ヶ月!?」

(゚Д゚)「あと数ミリで脊髄もやられそうだったらしい。
    そうなれば半身不随になってたそうだ」

(;^ω^)「・・・・・・・」

(゚Д゚)「でさ、こんな報告した後で後味悪いと思うけど、
    山田で開いた穴を埋めたいんだ。お前、うちのパートにならねえ?」

(;^ω^)「え!?いいんですかお?」

(゚Д゚)「本当はお前ほど仕事ができる奴には正社員になってもらいたいんだが・・・
    山田も怪我が治れば復帰するだろうし、正社員は無理らしい。
    でもパートってことなら、所長も是非って言ってる。」

(;^ω^)「そうかお・・・それは喜んでお受けするお」

(゚Д゚)「マジで!?サンキュー!
    明日からでも来れるか?」

( ^ω^)「大丈夫だお」

(゚Д゚)「じゃあ、平日は8時出勤だから。んで週休2日。まぁ詳しくは明日話すわ。
    契約するから印鑑持ってきて」

( ^ω^)「分かったお。明日から宜しくお願いしますお」

(゚Д゚)「こちらこそよろしく。じゃあ明日な」

( ^ω^)「ばいぶーだお」

ブーンは電話が切れたのを確認すると、携帯をテーブルの上に置いた。
信じられない事態にしばし呆然とする。
まさか、自分から掛け合う前にギコから頼まれるなんて。
怪我をした山田のことは気がかりではあるが、とりあえず安定した収入が約束された。
山田のおかげ、といったら不謹慎だろうが、ブーンにはこの言葉以外思い浮かばない。

( ^ω^)「夜になったらツンに報告するお」

ブーンは立ち上がり、再びキッチンに向かった。

その夜、ツンに電話でパートになれたことを報告すると、ツンは素直に祝福してくれた。
そして、「これから私がバイトのない放課後に気軽に会えなくなっちゃったね」と寂しそうに呟いた。

翌日、ブーンが微糖園に出勤すると、所長とギコが契約の準備をしてくれていた。
契約書に印鑑を捺し、待遇についての説明を受ける。
どうやら社会保険完備のようで、ブーンは一安心した。仕事内容も今までと同じらしい。
山田の一件で、補充は二人一組で行うことになったらしい。ブーンはギコと組むことになった。

物事が良い方向へ進んでいる。これも、ツンが背中を押してくれたおかげだ。
本当にツンに感謝しなければ。

その日、仕事は夜8時頃に終わった。
ブーンは事務所を出ると、ツンのバイト先のファミレスへ向かった。
ドクオとよく来ていたファミレス。しかし一人では来たことがなかった。
ブーンは緊張しながら、店の中に入った。

ξ゚?゚)ξ「いらっしゃいま・・・・あっ」

( ^ω^)「おいすー」

ξ゚?゚)ξ「あ、あれ?どうしたの?」

( ^ω^)「迎えに来たお。一緒に帰るお」

ξ゚?゚)ξ「分かった。じゃあ適当に座って。コーヒーでいいでしょ?」

( ^ω^)「ツンのおごりktkrwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「ふざけんな」

そう言ってツンはホールのカウンターの奥へ向かった。
ブーンは適当に窓際の席に座った。
時刻はすでに閉店30分前。平日ということもあり、ブーンの他に客は5~6人ほどしかいない。

ξ゚?゚)ξ「はい、おまたせ」

ツンがコーヒーを差し出す。

ξ゚?゚)ξ「多分今日も帰るの9時半くらいになるよ。それまで待ってるの?」

( ^ω^)「適当に時間潰すから平気だお」

ξ゚?゚)ξ「わかった。じゃあ早く帰れるように後片付け速攻でするから」

そう言ってツンはまたカウンターの奥へ消えた。
閉店間近ということもあり、一人、また一人と会計を済ませて帰っていく。
ブーンはコーヒーを飲みながら会社から持ってきた雑誌を読んでいた。
そして閉店10分前、ついに客はブーン一人となった。
コーヒーを飲み終えたブーンのもとへツンがやって来た。

ξ゚?゚)ξ「あんたが帰ったら店閉めるから早く帰って」

(;^ω^)「その言い方ひどいおwwwwwwでもわかったお、そこのコンビニで時間潰してるお」

ξ゚?゚)ξ「でね、店長がコーヒー代もらわなくていいよって言ってた」

( ^ω^)「本当かお?」

ξ゚?゚)ξ「うん。つーかもうレジ閉めたんだけどね」

(;^ω^)「ちょwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「じゃあ終わったら電話するから」

( ^ω^)「分かったお。待ってるお」

ブーンはツンに手を振り、店を出た。
今日は日中、夏が来たかと思う程気温が上がった。夜になった今も半そででいても平気な、とても快適な気温だった。
ブーンは時間を潰すためにコンビニへと向かった。

店を閉め、ツンは後片付けに追われていた。
全てのテーブルを吹き終わったところに、トリィがやってきた。

(゚∋゚)「ツンちゃん、さっきの人、よくもう一人の友達と来てたコだよね?」

ξ゚?゚)ξ「あっ、はい。高校の先輩で」

(゚∋゚)「カレシ?」

ξ///)ξ「えっ、いやっ、そのっ」

(゚∋゚)「図星だ♪」

ξ///)ξ「は、はぁ・・・まぁ・・・・」

(゚∋゚)「ツンちゃんに彼氏ねー。いやー、なんか寂しいなー」

ξ゚?゚)ξ「店長、奥さんもお子さんもいらっしゃるじゃないですか」

(゚∋゚)「あっ、まぁ、それはそうなんだけどね」

ξ゚?゚)ξ「私がアメリカ人だったら今ごろセクハラで告訴してるところですよ、店長」

(゚∋゚)「ええ~、いやぁツンちゃん厳しいなー」

ξ゚?゚)ξ「あははw冗談ですw」

(゚∋゚)「彼氏、待ってるんでしょ?もう上がりな」

ξ゚?゚)ξ「えっ・・・でも、店長も用があるんじゃ・・・」

(゚∋゚)「あとは一人でできるから大丈夫。キッチンのスタッフもいるし。
   ほら、早く帰らないと彼氏待ちくたびれてるよ!」

ξ゚?゚)ξ「あっ、はい、ありがとうございます」

(゚∋゚)「じゃあおつかれー」

ξ゚?゚)ξ「お疲れ様でした、お先します」

トリィのはからいで、ツンは予定よりも早く帰してもらえることになった。
ツンは急いで着替え、ブーンのいるコンビニへと向かった。

そのファミレスから5分ほど歩いたところにあるコンビニで、ブーンは雑誌を立ち読みしてツンを待っていた。
9時半まで、あと20分近くある。のんびり雑誌でも読んでいれば時間がくるだろう。

ふと、週刊誌の「スキャンダル帝王 人気俳優のhiroyukiが、深夜に女性と密会!?」という派手な文字に惹かれ、
ブーンはその週刊誌を手にとり、ページをめくった。
hiroyukiとは、元ジュゴンボーイの今最も注目を集める俳優で、切れ長の涼しげな目元と少し厚めの唇が世の女性を魅了し、
セクシーな芸能人ナンバー1とまで言われるほどだった。
真面目そうな外見とは反対に女遊びが激しいようで、よく芸能週刊誌にスクープされていた。

ξ゚?゚)ξ「つーか何公衆の面前でエロ本読んでるのよ」

(;^ω^)「??」

ξ゚?゚)ξ「みっともない」

そう言ってツンはお菓子の棚の方へ向かった。
ブーンが手に持っている週刊誌の表紙を見ると、そこには水着姿で大胆なポーズを取っているグラビアアイドルの写真が
大きく掲載されていた。

ブーンは慌てて週刊誌を棚に戻し、ツンのところへと向かった。

(;^ω^)「ツ、ツン、あれはただの週刊誌だお!エロ本なんかじゃないお!!」

ツンはしゃがみ込んだまま、黙ってチョコレートを品定めしている。

(;^ω^)「ツン、本当だお!ちゃんと見てくれお!!」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・何焦ってんの?」

(;^ω^)「・・・」

ξ゚?゚)ξ「週刊誌ってことぐらい私にも分かりますから。ちょっとからかっただけ」

(;^ω^)「あう」

ξ゚?゚)ξ「そんなに慌てられると、なんだか余計あやしくなってきたけど」

(;^ω^)「俺はドクオと違って、コンビニでエロ本立ち読みできるほど度胸ないお・・・・」

ξ゚?゚)ξ「そうゆうことにしといてあげる。ね、コレ買って」

( ^ω^)「チョコかお?夜にチョコ食べると太るお」

ξ#゚?゚)ξ「うっさいわね!」

(;^ω^)「!!!???」

ξ#゚?゚)ξ「そんなこと言うんだったらあんた一人で帰れば!!」

ツンはそう言うとそのままコンビニを出ていってしまった。
ブーンは思わずその場に立ち尽くした。ツンが急に声を荒げるなんて。

ブーンは我に返ると、慌ててツンを追いかけた。

(;^ω^)「ツン待つお!すまなかったお!!」

ξ#-?-)ξ「・・・・・・・・・・・」

(;^ω^)「ツン・・・」

ツンが口をきいてくれない。相当ツンの逆鱗に触れてしまったということか。
それにしてもこんなに急激に態度が変わるなんて・・・。今までこんなことはなかったのに。

夜の路地を、早足で歩くツンの背中を追いかけながら、ブーンはどうしていいか全く分からずにいた。
ただただ、ツンの後ろを付いて行くしかなかった。

しばらく歩いたところで、ツンが立ち止まった。
機嫌が直ったのだろうか?ブーンは急いでツンの元へ駆け寄った。

ブーンがツンに話し掛けようとした時に、それまでブーンに背中を向けていたツンが急に振り返った。
その表情はとても険しく、怒りが露にされていた。般若のような表情・・・とは、このことだろうか。
ブーンは驚いて、思わず後ずさりしてしまった。

ξ#゚?゚)ξ「あんたねぇ・・・・なんで黙ってついてくるのよ」

(;^ω^)「だって、ツンが怒ってたから・・・」

ξ#゚?゚)ξ「もうちょっと気使って声掛けようとか思わないわけ!?」

(;^ω^)「そんなこと言われても・・・」

ξ#゚?゚)ξ「元はと言えばあんたのせいでしょうが!!!
      普通、なんとかしようとか思うでしょ!!!!」

(;^ω^)「・・・・・・・・・」

ξ#゚?゚)ξ「なのになんで何もしないでただついてくるのよ!
      自分が悪いと思ったらちゃんと相手が納得するまで謝るってのがスジでしょ!!」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・」

ξ#゚?゚)ξ「あームカつく。鬱陶しいからもうついてこないで!」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・」

(#^ω^)「わかったお。送って行こうと思ったけど俺は帰るお」

ξ#゚?゚)ξ「さっさと帰れば?」

ツンはそう言うとブーンに背を向け、早足で歩き出した。

もう、何がなんだかわけがわからない。どうしてこんなに怒られなくてはならないのだろうか。
それにしてもツンの口調はキツすぎる。あんな言い方をされると、こっちまで腹が立ってくる。

ブーンはツンとは反対方向へ歩き出した。
ツンはなんて勝手なんだろう。いくらなんでも彼氏に向かって”鬱陶しい”はないのではないか。
確かに原因を作ったのは自分だが、あまり責め立てられると正直いい気はしない。
あんなに散々まくしたてられた挙句”謝れ”と言われても無理な話だ。

(#^ω^)(腹が立つお・・・・)

それにしても、大らかなブーンがここまで腹を立てるのは、とても珍しいことだった。
それくらいツンの口調はキツかったのだ。

折角仕事のことでツンに報告があったのに、これで会いに来た意味がない。
無駄足だった。そう考えると、余計に怒りが湧き上がってくる。
ブーンはイライラしたまま帰宅し、その日はツンにメールを送らずに就寝した。

翌日、ブーンはすっきりしないまま出勤した。
ギコに”何かあったのか?”と何度も聞かれたが、ブーンはその度になんでもないと答えた。

その日は夕方の5時に仕事が終わった。
ブーンは事務所を出ると、自宅へ向かって歩き出した。
事務所は自宅から歩いて20分ほどの所にあるので、ブーンは徒歩で通勤することにしていた。
ブーンは歩くのが好きだった。季節や、その日の気温や風を感じながら歩くのがとても好きなのだ。
仕事疲れもあって、ブーンは昨日のことをすっかり忘れて歩いていた。

( ^ω^)(随分日が長くなったお。まだ明るいお)

日中の暖かさを残した空気が、夕方の街をやわらかく包んでいる。
ブーンは清々しい気持ちで自宅へと歩いていた。
そして自宅近くの公園の前を通りかかったところで、後ろから急にワイシャツをひっぱられた。
驚いて振り向くと、そこにはツンの姿があった。

(;^ω^)「ツ、ツン・・・!?どうしたお?」

ξ゚?゚)ξ「昨日はごめんね」

(;^ω^)「昨日・・・?
      ・・・・・・・・・・・・あ」

ξ゚?゚)ξ「もしや忘れてた?」

(;^ω^)「わっ、忘れてないお!ちゃんと覚えてたお!!」

ξ゚?゚)ξ「まぁどっちでもいいけどさ。ちょっといい?」

( ^ω^)「俺も話があったお。うちに来るかお?」

ξ゚?゚)ξ「え?でも・・・」

( ^ω^)「かあちゃんは9時くらいにならないと帰って来ないから大丈夫だお」

ξ゚?゚)ξ「分かった・・・」

ブーンはツンを自宅へつれて行くと、自分の部屋へ案内した。ツンは緊張した面持ちでブーンの部屋に入った。
ブーンは一旦台所に向かい、冷蔵庫からジュースを取り出し、コップを二つ持って部屋に戻った。

( ^ω^)「りんごちゃんでもいいかお?」

ξ゚?゚)ξ「りんごちゃんでいいよ」

ブーンはりんごジュースをコップに注ぎ、ツンに差し出した。

ξ゚?゚)ξ「ありがと」

( ^ω^)「で、急に来てどうしたお?」

ξ゚?゚)ξ「ああ・・・実はね、昨日のことなんだけど・・・」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「私、すっごくイライラしてたでしょ?」

(;^ω^)「うんお・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「生理前だったからみたい」

(;^ω^)「せ、せいり?」

ξ゚?゚)ξ「生理前ってホルモンバランスが崩れて、頭が痛くなったり、眠くなったり、体がむくんだり、すっごくイライラしたりするの」

( ^ω^)「そうなのかお・・・・」

ξ゚?゚)ξ「んで、普段は何でもないことでも生理前だとすごくイライラするのね。
      それで昨日・・・・あんなにキツく言っちゃって・・・・・・」

( ^ω^)「なるほどだお」

ξ゚?゚)ξ「昨日の夜生理がきて分かった。ごめんね」

( ^ω^)「そうだったのかお」

ξ゚?゚)ξ「あと、生理前ってやたら甘いものが食べたくなるのよ」

そう言ってツンはりんごジュースを飲んだ。
甘いもの・・・?ああそうか、だから昨日コンビニでチョコレートを選んでいたのか。
なんだか全てに納得がいった。

ξ゚?゚)ξ「毎月迷惑かけると思うけどよろしく」

( ^ω^)「うはwwwww毎月wwwwwwwwwマンドクセwwwwwwwwww」

ξ#゚?゚)ξ「うっさいわね!仕方ないでしょ!
       あんたが一週間抜かないでいて夢精するのと同じくらい仕方ないことなのよ!!」

( ^ω^)「なるほどwwwwwwwww」

ブーンの家族で女性なのは母だけだし、今まで彼女がいたことがなかったから、
女性の生理現象については全く知識がなかった。
生理前にイライラが強くなると言われて、ピンとこない部分もあるが、
今、目の前にいるツンはいつものツンで、昨日のようにピリピリしていない。これが何よりの証拠なのだろう。
それどころかいつもよりも穏やかな印象がある。これも、生理中だからなのか?

( ^ω^)「あ」

ツンの顔をまじまじと見ていると、頬に大きなニキビがあるのを見つけた。

( ^ω^)「ニキビハケーンwwwwww潰させてくれお」

ξ#゚?゚)ξ「ちょっと!やめてよ!!今までニキビ潰したことないんだから!!!!」

( ^ω^)「それ本当かお?気持ちいいのに・・・俺もかあちゃんに止められてるけど」

ξ゚?゚)ξ「跡が残るじゃない。だからこれには触らないで」

( ^ω^)「それにしてもツンにニキビなんて珍しいお」

ξ゚?゚)ξ「これも生理のせい。男性ホルモンが強くなって、脂の分泌が多くなるからニキビもできやすくなるの」

(;^ω^)「な、なるほどぉ~」

ξ゚?゚)ξ「あんたのお母さん、美容部員でしょ?多分もっと詳しく説明してくれるわよ」

(;^ω^)「いや、聞きにくいおwwwwwww」

それにしても、女性は色々あって大変そうだ。頭痛や腹痛や腰痛などが一気に来て、
しかもそれが毎月あるのだから相当面倒に違いない。

( ^ω^)「めんどくさくないかお?」

ξ゚?゚)ξ「超めんどい。できればあんたに譲ってあげたいくらい」

(;^ω^)「いらないおwwwwwww」

ちなみに、ツンは生理痛も相当ひどいらしい。
腹痛と腰痛がとてもひどく、一日目と二日目は痛み止めを服用しないと生活できないくらいひどいらしいのだ。
以前に一度、痛み止めが効かず、あまりの痛みで動けなくなったことがあるらしい。
翌日、母の勧めで産婦人科に診察に行ったが、体に異常はなかったのだそうだ。
ブーンはそれを聞いて、全身の力が抜けるような感覚に陥った。

ξ゚?゚)ξ「ちなみに、出産の時の陣痛って、男の人におなじ痛みが起きたら死んじゃうくらい痛いらしいよ」

(;^ω^)「そうなのかお・・・・女の人はすごいお」

小学校と中学の時に保健体育の授業で性教育は受けたが、自分が知らない事がたくさんあってびっくりした。
女性の方が精神年齢が高い理由は、ここにもある気がした。

ξ゚?゚)ξ「そういえば、あんたも話があるって言ってなかった?」

( ^ω^)「あっ!!忘れてたお!!!!」

ξ゚?゚)ξ「?」

( ^ω^)「実は、微糖園のパートになることになったお!!」

ξ*゚?゚)ξ「本当!?おめでとう~!!!」

ツンの表情がみるみるうちに明るくなる。とても嬉しそうだ。
ブーンが事の経緯を説明すると、ツンはうん、うん、と頷きながら聞いていた。

ξ゚?゚)ξ「山田さんには悪いけど、その人が怪我したおかげでブーンがパートになれってことだよね」

( ^ω^)「複雑な気持ちだお。素直に喜べないお」

ξ゚?゚)ξ「まぁ、山田さんにはゆっくり療養してもらって、ブーンはその分頑張りな」

(*^ω^)「把握したおwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「それにしても、良かったねぇ。おめでとう」

(*^ω^)「ご褒美は?」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・は?」

(*^ω^)「ご褒美はないのかお?」

ξ゚?゚)ξ「ないわよ。社会人なんだから働くのは当たり前でしょ」

(;^ω^)「テラヒドスwwwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「でもまぁそんなに言うなら・・・」

そう言うとツンはブーンのそばへ擦り寄ってきた。
ブーンの心臓の鼓動が急に早くなった。

(*^ω^)(一体どんなご褒美かお?)

ブーンの期待は一気に高まる。一体何をしてくれるのだろう。

ξ゚?゚)ξ「はい、おでこにチューしていいよ」

( ^ω^)「え」

ξ゚?゚)ξ「何よ、不満?」

( ^ω^)「不満じゃないけど・・・せめてツンが俺のほっぺにチュってしてくれお」

ξ///)ξ「は・・・はぁっ!?なんでそうなるのよ!!」

( ^ω^)「ご褒美ってそうゆうものだお。お願いだお」

ブーンがツンに必死に懇願する。ツンは顔を真っ赤にしながら、少し困ったような表情でブーンの顔を見ていた。

ξ///)ξ「わ・・・分かったわよ・・・。ほっぺにすればいいのね・・・・」

(*^ω^)「ktkrwwwwwwwwwバッチコイだおwwwwwwwwww」

ξ///)ξ「恥ずかしいから目つぶってて」

(*^ω^)「フヒッ!フヒヒ!」

興奮を禁じえない。ツンがほっぺにキスをしてくれるなんて、今まで想像したこともなかった。
ツンの柔らかそうな唇が自分の頬に触れることを想像するだけでちんこが勃起しそうだ。

(*-ω-)「準備おkwwwwwwwwww」

ξ///)ξ「う、うん・・・・」

ツンは、丁寧に正座をして待つブーンの肩に両手をかけた。

ξ///)ξ「失礼します・・・・」

ツンの顔がゆっくりとブーンの頬に近付く。あと数センチで、ツンの唇がブーンの頬に触れる―。
とその時、急にブーンがツンの肩をつかんだ。

ξ;゚?゚)ξ「きゃっ!?何す―」

ツンがびっくりして目を開けると同時に、ブーンの顔がツンの目と鼻の先にあった。
ツンは思わず目をつぶった。肩をこわばらせ、無意識にの奥を食いしばる。

そして、ブーンの唇が、ツンの唇に触れた。

ξ///)ξ「・・・・・・・・・っっ」

ツンの心臓がドクン、ドクンと大きく波打つように高鳴る。
頭の中は真っ白だ。何を考えていいか分からない。とても混乱している。

少し経って、ブーンの唇がゆっくり離れた・・・。

(*^ω^)「フヒヒ!作戦成功だおwwwwwwww」

ξ///)ξ「お前・・・・不意打ちすんなばか」

(*^ω^)「最高のご褒美だおwwwwwwこれで仕事頑張れるおwwwwwww」

ブーンはそう言ってツンを抱きしめた。
ブーンの胸にツンが埋もれる形になった。

ξ;゚?゚)ξ「ちょっ・・・苦しいっ」

(;^ω^)「あっ、ごめんお!!」

ブーンは急いでツンから離れた。

ξ;-?-)ξ「あんたとは身長差あるから、何するにも相性悪そうね」

(;^ω^)「そんなこと言うなおwwwやってみなきゃ分からないおwwwwwww」

そう言ってブーンは再びツンの肩を抱きしめた。

(*^ω^)「今度はうまく抱きしめるお」

ξ///)ξ「・・・・・っっ」

ツンを優しく抱きしめる。ツンの頭がブーンの肩に乗るかたちになった。

(*^ω^)「フヒッ!テラヤワラカスwwwwwwwww」

ξ*-?-)ξ「そういう感想は頭の中でしてくれない?」

ツンの腕が、そっとブーンの背中に回る。
ツンのシャンプーの香りがふんわりとブーンの鼻をくすぐる。
あまりに良い香りにクラクラしそうだ。

(*^ω^)「もっとぎゅってしてくれお!もっともっと!!」

ξ#゚?゚)ξ「あんたいちいちうっさいのよ!ムードもクソもないじゃない!!」

そう言ってツンは思いっきりブーンの体を抱きしめた。

(;^ω^)「ちょwwwwいてえwwwww
     苦しいお・・・・・クラクラしちゃお・・・・」

ξ*-?-)ξ「あんたって・・・抱き心地いいのね・・・・」

(*^ω^)「!!」

ツンがそっとブーンの体から離れた。頬がほんのりピンク色に染まっている。

ξ゚?゚)ξ「でも、立ったままぎゅってできないね。あんたの胸のあたりに私の顔がくるから、苦しくなっちゃう」

(*^ω^)「大丈夫だお!俺がちょっとかがめばちょうどいいお!」

ξ;-?-)ξ「それじゃあ格好悪いじゃない・・・」

(*^ω^)「年の差カップルも流行ってるし大丈夫だお!!」

ξ゚?゚)ξ「それフォローのつもり?」

ツンが頬を染めたまま前髪を整える。
恥ずかしさを隠すように、部屋をさりげなく見渡している。
ふと、CDラックに目がいったところで動きが止まった。

ξ゚?゚)ξ「ん・・・・?」

( ^ω^)「?どうしたお?」

ξ゚?゚)ξ「ちょっとこれ・・・」

( ^ω^)「?」

ツンはそう言ってCDラックから一枚のCDを取り出した。

ξ゚?゚)ξ「これ私が貸したCDじゃない?」

(;^ω^)「あっ・・・」

それは、去年の秋頃に借りたツンのCDだった。返そう返そうと思っていて、結局今に至ってしまっていた。

ξ゚?゚)ξ「あんたねぇ・・・私がこれをどれだけ探したと思ってるのよ」

(;^ω^)「すっかり忘れてたお」

ξ゚?゚)ξ「でももうアルバム買ったからこれいらない」

(;^ω^)「そうかお」

ツンは部屋の時計をチラリと見た。もうすぐ7時半になろうとしていた。

ξ゚?゚)ξ「そろそろ帰ろうかな・・・。宿題あるし」

( ^ω^)「うちでやって行けばいいお」

ξ゚?゚)ξ「あんたに邪魔されそうだからいい」

(;^ω^)「・・・・・・チャリで送ってくお」

二人は家を出た後、ブーンの自転車でツンの家へと向かった。
ツンの家へは自転車を使って15分ほどのところにあるが、自転車には乗らずに歩いてツンの家へ向かった。
自転車を押しながら歩くブーンの隣を、ツンが連れ立って歩いている。

ξ゚?゚)ξ「仕事、休みはいつなの?」

( ^ω^)「ツンと同じ水曜と木曜にしてもらったお。たまに土日ももらえるみたいだお」

ξ゚?゚)ξ「そっか!じゃあちゃんと会えるんだね」

( ^ω^)「忙しくなければツンがバイト終わったら迎えに行くお」

ξ゚?゚)ξ「じゃー次は車の免許だね!」

(;^ω^)「え」

ξ゚?゚)ξ「だって、こんな田舎じゃあ車運転できなきゃ不便じゃない。
      18になったら免許取る、みたいな風潮あるし」

(;^ω^)「まぁ・・・」

ξ゚?゚)ξ「就職にも多少有利だよ」

( ^ω^)「たしかにそうだお。じゃあ落ち着いたら取りに行くお」

そうこうしてるうちに、ツンの自宅に着いた。
家の明かりはついておらず、ひっそりとしている。

( ^ω^)「誰も帰ってないのかお?そういえば仕事でいつも遅いって言ってたお」

ξ゚?゚)ξ「そういえば先月からお父さんが海外出張に行ってるらしいよ」

(;^ω^)「らしいよって・・・」

ξ゚?゚)ξ「あんまり会わないから親っていう感じしないんだよね」

(;^ω^)「そうかお・・・」

ξ゚?゚)ξ「じゃ、送ってくれてありがと」

( ^ω^)「ツン」

ξ゚?゚)ξ「何?」

(*^ω^)「さよならのチューはないのかお?」

ξ*゚?゚)ξ「は・・・はあ!?」

(*^ω^)「せっかくだしチューするお」

ξ///)ξ「わ・・・わかったわよ」

ブーンはツンの肩を抱き、少しかがんでツンの唇にそっとキスをした。

(*^ω^)「うはwwwwあがとうだおwwwww」

ξ///)ξ「もうっ・・・」

(*^ω^)「じゃあ帰ったらメールするお」

ξ*゚?゚)ξ「わかった。気を付けてね」

(*^ω^)「ばいぶー」

ブーンは颯爽と自転車に乗り、夜の路地の向こうへ消えて行った。
ツンはその様子を見送った後、家の中に入った。

( ^ω^)「ただいまだおー」

ブーンは帰宅し、家の中に入った。
まだ母が帰ってきていないようで、家の中は静まり返っている。
そのまま2階に上がり、部屋へ入った。テーブルの上のコップを片付けながら、ブーンは先ほどのことを思い出していた。

(*^ω^)「ツンの唇、柔らかかったお」

自分の唇に、ツンの唇の感触が残っている。
そして体全体に、ツンの体の感触と香水の優しい香りが残っていた。
ツンは柔らかくて、あたたかくて、とても気持ち良かった。目をつぶると、さきほどの光景が浮ぶようだ。

( ^ω^)「あっ」

(;^ω^)「思い出したらちんちんおっきしたお」

ブーンの股間のモノがズボンを大きく膨らませている。

( ^ω^)「可哀相だけど、もしかしたらお前の出番はずっとないかもしれないお」

そう言ってブーンは息子をやさしくなだめた。

ブーンは手探り状態でツンと付き合っていた。
初めて女性と付き合ってるからというのもあるが、自分の性欲のままにツンの体を求めればツンは傷つきかねないからだ。
少しずつ、相手の様子を見ながら接して、徐々に徐々にツンとの関係を深めていこう、と思っていた。

もしかしたらツンと一つになるまで1年以上かかるかもしれないし、一生男としての悦びを味わえないかもしれない。
しかしブーンはそれでも構わないと思っていた。
肉体関係がなくても、ツンと一緒にいられれば、それがブーンにとっての極上の幸せだった。
セックスレスの夫婦もいる。二人だけの愛の形を築き上げれば、それでいいのだ。

( ^ω^)「ラーメンうめえwwwwwwwwwwwww
      略して・・・・・・・・・・・・・・らめえええええええええwwwwwwwwww」

(゚Д゚)「うるせーよ!静かに食え!!」

今日のかなり遅めの昼食は、市内でも評判のラーメン屋に寄った。
この日もギコと組んでの仕事だ。ギコが休みの日は他の社員と組むのだが、
やはりギコと一緒に仕事をする方が気を使わなくて済むし、仕事もしやすかった。

(゚Д゚)「それにしてもお前、最近楽しそうだよな」

( ^ω^)「そうかお?」

(゚Д゚)「ああ。いい意味で浮かれてるってゆーか」

それはやはりツンの影響だろう、とブーンは思った。
ツンと付き合い始めてからというもの、毎日が楽しくて仕方がない。何をするにも楽しい。

(゚Д゚)「彼女と何かあったのか?え?」

(*^ω^)「いやあっはっはっはwwwwwwwww」

本当に自分かと思うくらい、妙にテンションが高くなる。毎日こんな調子だ。
気分は高まり、何もかも上手くいくような気にさえなっている。

(*^ω^)「実は・・・・一昨日・・・」

(゚Д゚)「うん、うん!」

(*^ω^)「チューしちゃったおwwwwwwwww」

(*゚Д゚)「マジでかああああああああ!!!!早えええええええよ!!!!!!!!!」

(*^ω^)「うはwwwwwwwwww」

(゚Д゚)「俺なんて初めて付き合った女には3ヶ月間何も手出せなかったっつーの!!!!!
    しかも3ヶ月で別れたよw」

(*^ω^)「ギコさん意外に奥手だおwwwwwwwwwwwwwww」

(゚Д゚)「お前とぼけた顔してっけどやる事やるのな!!!!!」

(*^ω^)「やっちゃったおwwwwwwwwwwwww」

談笑しながら、伝票をレジに持っていき会計を済ます。
二人は店を出て、社用車に乗り込んだ。
今日は市内へのスーパーを回って売場点検をする日なので、トラックではなく乗用車での移動だった。

(゚Д゚)「んー、もう4時かぁ」

ギコは運転席に座り車のキーを差し込むと、腕時計を見ながら呟いた。

(゚Д゚)「本当はあと1箇所行く予定だったけど・・・・明日俺一人で行くわ」

( ^ω^)「?はいお」

(゚Д゚)「サボろーぜ」

(;^ω^)「ちょwwwwwwwww」

(゚Д゚)「たまにはいーんじゃね?俺らかなり真面目な方よ?
    所長なんて仕事中にたまに競馬やってっからな」

( ^ω^)「そうなのかお?」

(゚Д゚)「絶対バレねーから安心しろ。じゃあ行くぞ」

(;^ω^)「どこに行くお?」

(゚Д゚)「大人の社会見学だ」

(;^ω^)「ちょwwwwwwwwwwww」

そう言ってギコは車を走らせた。
中心街方面に向かう車は多く、軽い渋滞にひっかかりながら目的地へと向かう。

(゚Д゚)「まずはここだな」

(;^ω^)「ちょwwwwここwwwwwwwww」

(゚Д゚)「俺の一番のオススメ、HOTELロイヤル」

(;^ω^)「ラブホかおwwwwwwwwww」

ギコの言う”大人の社会見学”って、この事だったのか?
ブーンは初めて間近に見るラブホテルの前で、目のやり場に困っていた。

(゚Д゚)「ほら、いつかこういう場所を使う日のために、俺が色々教えてやるっつーことだよ」

(*^ω^)「うはwwwwwwwありがためいわくwwwwwwwwww」

(゚Д゚)「ここは中も綺麗だし、何よりラブホのくせに食事メニューが豊富な上、安いし美味い」

( ^ω^)「ラブホでもご飯食べれるのかお・・・」

(゚Д゚)「じゃー次な」

そのホテルの周りを一周した後、また車を走らせた。
今度は郊外へ向かっているようだ。

(゚Д゚)「街のラブホってロイヤルくらいしかいいとこないんだよ。
    そもそも数が少ないし」

( ^ω^)「そうなのかお」

(゚Д゚)「あとは街外れにたくさんある。俺の仲間とかはラブホ通りって呼んでるけど」

国道に乗り、車を30分ほど走らせると、ギコの言うラブホ通りに着いた。
そこは国道沿いに無数のラブホテルが点在している。夜にはそのネオンが鮮やかに存在を主張するそうだ。

( ^ω^)「こんなにラブホが多いなんて知らなかったお」

(゚Д゚)「でもなぁ、いいトコと悪いトコがあるからな。
   あ、ここ”夢の国”は、料金が馬鹿みたいに安いが、部屋にはシャワーとベッドしかない上に防音があまりなってない」

(;^ω^)「そうなのかお・・・」

(゚Д゚)「んで隣の”ニューパラダイス”、ここは盗撮されてるらしい」

(;^ω^)「ええ!?」

(゚Д゚)「俺の友人がカメラを見つけたことがあるらしい。
   んでこれはあくまでも噂なんだが、この辺りのラブホで「ニュー」とか「ネオ」とか、
   新しいっていう意味の単語がつくホテルは盗撮されてるって言われてる」

(;^ω^)「あうあう」

(゚Д゚)「ま、あくまで噂なんだがな」

そう言ってギコはひとつひとつラブホテルを回って、敷地内を一周していった。
それにしても、ラブホテルというものは見てるだけで面白い。部屋のひとつひとつに名前があり、内装も全て違うようだ。
それが車内から確認でき、入りたい部屋の車庫に車を入れて部屋に入る仕組みらしい。
全てが初めてのブーンは、恐怖心半分、好奇心半分、という感じで助手席からホテルの様子を見ていた。

(゚Д゚)「で、ここが俺のオススメ」

8箇所目のラブホテルの前に差し掛かったところで、ギコはそういってそのホテルの中に入った。
入り口の看板には”ホテル キャロル”と書かれていた。
敷地は今までのホテルの中で一番広いようだが、その他は変わり映えがないように感じた。

(゚Д゚)「ぱっと見は他と変わらないんだけど、部屋がとにかく綺麗。風呂も広いし。
    値段も、この設備を見れば安いほうかな」

( ^ω^)「なるほどぉ」

(゚Д゚)「ロイヤルが空いてない時はわざわざこっちまで来てた」

( ^ω^)「ふーん」

(゚Д゚)「まぁこんなとこかな」

( ^ω^)「勉強になるお」

(゚Д゚)「まぁあとはお前次第だな。いいホテルに来ても、彼女を満足させれなきゃ意味ねーからな」

(*^ω^)「うはwwwwwwwwwwwwww」

その後も数箇所ホテルを巡ったところ時刻は6時になった。
二人は事務所へと戻り、ブーンはそのまま退社した。

( ^ω^)(ラブホなんて初めて行ったお)

貴重な体験をした、ブーンはそう思った。
それにしても、ギコはなんでも知っている。まさかラブホテルについて教示されるとは。

( ^ω^)(やっぱりいつかツンと遊びに行きたいお)

遊びに行く、というのは変だろうか?
体目的ではなく、興味本位でツンと一緒に行ってみたいと思った。

その日の夜、ブーンはツンのバイト先に迎えに行った。
9時半を少し過ぎたところで、ツンが通用口から出てきた。

( ^ω^)「おいすー」

ξ゚?゚)ξ「お疲れー
     じゃあ帰ろうか」

夜の道を肩を並べて歩く。夜風が木の葉をさわさわと揺らしている。

ξ゚?゚)ξ「あのね、これから土日のどっちか休めることになったよ」

( ^ω^)「そうなのかお」

ξ゚?゚)ξ「週休三日にしてもらった。勉強に時間取りたいから」

( ^ω^)「何の勉強だお?」

ξ゚?゚)ξ「色彩検定。メイク関係の仕事したいから」

( ^ω^)「そうなのかお・・・ツンのそーゆー話、初めて聞いたお」

ξ゚?゚)ξ「でもまだ具体的にどうするか決めてないんだよね・・・色彩検定だって、メイクのお仕事するのに有利になるか分からないし」

( ^ω^)「ちょっとかあちゃんに聞いてみるお。
      美容部員から、ローカルのテレビ番組のメイクになった人がいるって聞いたお」

ξ゚?゚)ξ「本当!?じゃあ聞いてもらってもいい?」

( ^ω^)「おkwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「ありがとう!」

やりたい仕事もなく、ただ単に就職活動をしていた自分とは大違いだ。
やはり何をするにも目標を持っていないと、何も行動を起こせないし、何よりもやる気が湧き上がってこない。
それはブーン自身が実感したことだった。

( ^ω^)「そういえば今日、ギコさんと仕事サボったお」

ξ゚?゚)ξ「ええ!?なんで?」

( ^ω^)「なんか、たまにはいいじゃんって言ってたお」

ξ゚?゚)ξ「ふーん。で、何したの?」

(;^ω^)「・・・・・・・ラブホ巡りしたお」

ξ;゚?゚)ξ「え・・・・・へぇー・・・・ど、どうだった?」

( ^ω^)「面白かったお。盗撮されるホテルとか、オススメのホテルとか教えてもらったお」

ξ゚?゚)ξ「へー。オススメって、どこ?」

( ^ω^)「一番のオススメはロイヤルらしいお」

ξ゚?゚)ξ「ロイヤルって、街の近くの?」

( ^ω^)「そうだお。ツン詳しいお」

ξ;゚?゚)ξ「なっ、名前くらいは知ってるわよ!看板だって色んなとこにあるし!!」

( ^ω^)「まぁ俺も知ってたおwwwwwwww」

ξ///)ξ「からかわないでよっ!!」

(*^ω^)「うはwwwwwwwwwwwww」

その後、盗撮されているという噂のあるホテルのことや、料金のシステムなどギコに聞いたことをそのままツンに話すと、
ツンは興味深そうに話を聞いていた。

( ^ω^)「そういえば来週は水曜日と土曜日が休みだけど、ツンはどうだお?」

ξ゚?゚)ξ「あ、まだ決まってないけど、じゃあ土曜日に休み取れるか店長に聞いてみる」

( ^ω^)「分かったお」

ξ゚?゚)ξ「ねぇ、土曜日休み取れたら、どこかに遊びに行かない?」

( ^ω^)「お?」

ξ゚?゚)ξ「だって、付き合い始めてからデートっぽいことしてないじゃん」

そう言われてみればその通りだ。
こうしてツンの放課後やバイト後に合わせて会ったりはしていたが、
ちゃんとした(?)デートはまだしていなかった。

( ^ω^)「じゃあどこかに行くお。どこに行きたいかお?」

ξ゚?゚)ξ「うーん・・・・・・・・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「カラオケとか・・・・?」

( ^ω^)「いつもと変わらないお」

ξ゚?゚)ξ「だって、他にある?」

( ^ω^)「・・・・・・・・・ないお」

ξ゚?゚)ξ「じゃあカラオケでいいんじゃない?その後、街をブラブラしようよ」

( ^ω^)「おkwwwwwそれよりもその前に休み合わなきゃ意味ないお」

ξ゚?゚)ξ「うっ・・・そうだよね、分かった」

そんな話をしているうちにツンの家についた。
今日は珍しく電気がついていた。

ξ゚?゚)ξ「あれ・・・お母さん帰ってきたのかな」

( ^ω^)「電気ついてるの初めて見たお」

ξ゚?゚)ξ「挨拶してく?」

(;^ω^)「えwwwwっうぃやくぁqwせdrftgyふじこlp;@:」

ξ゚?゚)ξ「冗談だよ。ちゃんと就職しないうちは紹介する気ないから」

(;^ω^)「・・・・・・・あう」

ξ゚?゚)ξ「じゃっ、またねー」

(;^ω^)「ばいぶー」

ツンが家の中に入ったのを確認すると、ブーンも帰路についた。

( ^ω^)(来週の土曜日、休み合うといいお)

ツンがうまく休みを取れるようにと思いながら、家路を急いだ。

翌日の夜、ツンから土曜日に休みが取れたとメールが入った。
これで土曜日のデートが決まった。

翌週の土曜日、二人は駅前で待ち合わせをしていた。
待ち合わせ時間よりちょっと遅れてツンがやってきた。二人は早速カラオケに向かった。
11時から18時までのフリータイムにし、指定された部屋へ向かった。

( ^ω^)「飽きたら出てその辺ブラブラするお」

ξ゚?゚)ξ「そうだね」

二人は部屋に入り、カラオケを楽しんだ。
ツンは、カラオケには大人数で来るよりも、気の知れた仲間と少数で来る方が好きだった。
だからブーンと二人でカラオケに来るのがすごく好きだった。

二人で3時間ほど歌いつづけたところでツンは疲れて、曲を入れずに休憩していた。

( ^ω^)「どうしたお?」

ξ゚?゚)ξ「うん、なんか疲れちゃって。気にせず入れていいよ」

( ^ω^)「俺も疲れたお。ちょっと一休みするお」

既に入っていた曲を歌い終えたところで、二人は少し休憩することにした。

( ^ω^)「なんか飲まなくて平気かお?」

ξ゚?゚)ξ「あ、ジュース飲みたい。あと、ちょっとお腹すいた」

( ^ω^)「じゃあ何か頼むお」

ブーンはテーブルの隅にひとまとめにしてあった食事のメニューを手に取り、ツンと自分が見えるように広げた。
その中から飲み物と食べ物を選び、フロントに電話して注文した。

( ^ω^)「ちょっと時間かかるそうだお」

ξ゚?゚)ξ「うん、わかった」

( ^ω^)「今日は何時頃にカラオケ出るかお?」

ξ゚?゚)ξ「うーん・・・5時くらい?」

( ^ω^)「おk」

二人はソファに深く座ってボーッとしながら飲み物が来るのを待った。
ブーンはツンをちらりと見た。背もたれにうなだれながら、カラオケのモニターを眺めている。
ブーンはこっそりとツンに近付いてみた。

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・ん?何?」

( ^ω^)「フヒヒ!」

ξ;゚?゚)ξ「やっ・・・!あんた前から思ってたけど、その笑い方が変態っぽいのよ!!」

( ^ω^)「フヒヒヒヒ!」

ブーンはツンの言う事などおかまいなしにツンに抱きついた。
ツンはブーンを引き剥がそうとしたが、力ではブーンに及ばなかった。

ξ;゚?゚)ξ「もーやめてよー。ジュースとか来ちゃうってば」

( ^ω^)「時間かかるって言ってたお。大丈夫だお」

ξ;-?-)ξ「もー」

ツンは観念したのか、抵抗する手を止めた。
するとブーンは体勢を直しツンの隣にちょこんと座った。
そして、ツンと自分の間にできた隙間に手の平を上向にして置いた。

( ^ω^)「ツン、はいお」

ξ゚?゚)ξ「?なに?」

( ^ω^)「ここにツンのお手手のっけるお」

ξ゚?゚)ξ「こう?」

ツンは手をブーンの手の上に重ねた。

( ^ω^)「まだツンと手つないでなかったお」

ξ*゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・そうだね・・・」

ツンが恥ずかしそうに視線をそらした。
ツンの手は小さく、自分の手に覆い隠れてしまいそうだった。

( ^ω^)「ちょっとこうしててもいいかお?なんか落ち着くお」

ξ*゚?゚)ξ「うん・・・・」

ソファに手を握り合って座っているのが、思いのほか心地良かった。
ブーンはとても幸せな気分になった。
恥ずかしそうにうつむくツンの姿が、とても愛しく思えた。

ブーンが一人幸せにひたっていると、ツンがブーンの肩に寄りかかってきた。
二人の密着度が増す。ブーンの心臓が大きく高鳴った。

(*^ω^)「ちょwwwwwツンwwwwwwwww」

ξ*゚?゚)ξ「なに?いや?」

(*^ω^)「いやじゃないお」

ξ*-?-)ξ「なんかカップルらしいでしょ」

そう言ってツンはブーンの腕の中にぐいぐい入ってきた。
ブーンがツンの肩を抱く形になった。

(*^ω^)(この上ない幸せだおwwwwwww)

ブーンはツンの肩を抱き寄せた。
ツンの小さい体は、ブーンの腕の中にすっぽり納まっている。

(*^ω^)「ツン、もっとカップルらしいことしないかお?」

ξ*-?-)ξ「えー?やだ」

(;^ω^)「ちょwwwwww」

自分の腕の中にいるツンは、まるで子猫のようだった。
ブーンはツンの頭をそっと撫でた。

( ^ω^)「・・・・・・・ジョルジュともこんなことしたのかお?」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・」

( ^ω^)「?」

ξ-?-)ξ「・・・・・・・・・」

ツンは何も言わないままブーンの腕をくぐり抜けた。
そして隣に座り、ブーンをするどい目つきで睨んだ。

(;^ω^)「ツン?」

ξ#゚?゚)ξ「なんでここでジョルジュ君の名前が出てくるのよっっ!!!!!!!!」

(;^ω^)「だって、なんか気になったんだお」

ξ#゚?゚)ξ「馬鹿じゃないの!なんで私の前でその名前を出すのよ!しかもこのタイミングで!!!!」

(;^ω^)「あうー」

ξ#゚?゚)ξ「大体あんたは嫌にならないの?嫉妬したりとかしないの!?」

(;^ω^)「あんま気にしてないお・・・」

ξ#゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・・・・・・」

ξ#-?-)ξ「話にならない」

(;^ω^)「ごめんおー気になったんだお」

ξ-?-)ξ「そんなに知りたいの?」

(;^ω^)「えーと・・・・・・実はちょっとジョルジュから聞いたお」

ξ゚?゚)ξ「はあ!?」

(;^ω^)「ジョルジュはよくツンとのことを俺に相談してきたお。
     その時にちらっと・・・・」

ξ;゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・」

(;^ω^)「あっ、でも具体的なことは知らないお!!聞いたのはチューしたことぐらいだお!」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・・・ごめんお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・やだ・・・・」

(;^ω^)「?」

ξ;?;)ξ「一番・・・・知られたくなかったのに・・・・・・・」

(;^ω^)「!!」

ツンは瞳に涙を溜め、顔を真っ赤にしてうつむいた。
必死に涙をこらえているのだろう。肩が小刻みに震えている。

(;^ω^)「ツン・・・悪かったお・・・・これ以上は何も聞かないし、言わないお」

ξ;?;)ξ「・・・・・・・・・・・・・・・」

ツンはうつむいたまま一回だけ小さく顔を縦に振った。
両手で顔を抑え、ブーンに泣き顔を見られまいとしている。

(;^ω^)「ツン、本当にごめんお。
     でも俺はそんなことでツンを嫌いになったりしないお。俺と一緒にいてくれればそれでいいお」

ξ;?;)ξ「・・・・・・・・・死ねばか・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・俺が死ねばツンは泣き止んでくれるかお?」

ξ;゚?゚)ξ「・・・!!」

( ^ω^)「それでツンは許してくれるのかお?」

ξ;゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・・」

ツンの表情が一気に青ざめる。
口元が、微かに震えた。

ξ;?;)ξ「やだ!死んだら意味ないじゃない!!!」

(;^ω^)「ツン・・・・・」

ξ;?;)ξ「ばか!死ね!!」

(;^ω^)「え?死んでいいのかお?」

ξ;?;)ξ「やだ!死んだら意味ないって言ってるじゃん!!」

(;^ω^)「じゃあ・・・」

ξ;?;)ξ「でも死ねばか!!!!」

(;^ω^)「ちょwwwwwどっちwwwwwwwww」

ツンは声をしゃくりあげながら泣いた。
ブーンはそんなツンの肩を両腕で包み、そっと自分へ抱き寄せた。
そして優しくツンの頭を撫でてあげた。

( ^ω^)「ツン、悪かったお・・・・」

ξ;?;)ξ「今はあまり思い出したくないのよ・・・・・・」

( ^ω^)「分かったお。もう聞かないお」

ξ;?;)ξ「・・・・・・・・忘れさせてよ」

( ^ω^)「ツン・・・・・」

ブーンはツンを更に強く抱きしめた。
そしてツンの涙をそっと手で拭った後、右手をツンの後頭部に回した。

( ^ω^)「忘れさせてあげるお・・・・・ツン、目つぶってくれお」

ξ*゚?゚)ξ「うん・・・・」

ツンがそっと目をつぶる。ブーンは、顔をそっと近づけた。
二人の唇が、ゆっくり重なる。

先日のただ重ねただけのキスとは違い、今度はお互いの唇の感触を確かめ合うように口づけた。
そして、ブーンの舌がゆっくりとツンの中へ入っていった。

ツンはびっくりして離れようとしたが、ブーンがそれを許さなかった。
しっかりと強く抱きしめて離そうとしなかったのだ。
ツンは大人しくブーンに身を委ねた。そしていつしか二人は、濃厚なキスにはまっていった。

どれ程口づけあっていただろうか。
しばらくして、ブーンが急に唇を離し、ツンのそばから勢いよく離れた。
ツンは突然のことに驚いた。一体どうしたというのだろう。
何か気に障るようなことをしてしまったのだろうか・・・。

ξ;゚?゚)ξ「ブーン?どうし・・・」

コンコンコン

ξ;゚?゚)ξ「!」

ノックの音が部屋に響いた。ツンは慌ててブーンから少し遠ざかって座った。

スタッフ「失礼しまーす」

ノックの直後、カラオケのスタッフが室内に入り、先ほど注文した飲み物と食べ物をテーブルに並べた。
ブーンとツンはソファに微妙な感覚をあけて座って、その様子を眺めていた。

スタッフ「ごゆっくりどうぞ」

全て並べ終えると、スタッフはすぐに部屋を出ていった。

ξ;゚?゚)ξ「あーびっくりした・・・全然気付かなかった」

(;^ω^)「あぶなかったお。もうちょっとで完璧に見られてたお」

二人は顔を合わせて、安堵の表情を浮かべて少し笑った。

ξ*゚?゚)ξ「なんかおかしーねw」

(*^ω^)「ちょっとドキドキしたおwwwww」

ξ*゚?゚)ξ「料理並べてる時めちゃくちゃ気まずかったよ」

(*^ω^)「どうしようかと思ったおwwwwwwwwww」

ξ*゚?゚)ξ「ご飯来たし、食べよーか」

(*^ω^)「ツン、ツン」

ξ゚?゚)ξ「何よ?」

(*-ω-)「んー」

ξ゚?゚)ξ「何の真似?」

(*-ω-)「さっきの続きだお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・」

(*-ω-)「・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「・・・・ずっとそうしてれば?」

(;-ω-)「・・・・・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「あー喉渇いたー」

そう言ってツンは先ほど届いた飲み物で喉を潤した。

(;^ω^)「ツンひどいお!彼氏に向かってそれはないお!」

ξ゚?゚)ξ「うっさいわねー!また店員来たらどうすんのよ!
     それに監視カメラついてるかもしれないじゃない!!」

(;^ω^)「ちゅーしたいお」

ξ゚?゚)ξ「はいはい後でね。それより冷めないうちに食べようよ」

( ^ω^)「うはwwwwwwご飯ご飯wwwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「ツン、あーんしてあげるお」

ξ゚?゚)ξ「いらない。一人で食べれる」

(;^ω^)「ちょwwwwww冷たいおwwwwwwwww」

食事をし空腹を満たすと、二人はまたカラオケを楽しんだ。
そして予定通り5時頃にカラオケを出て、ツンの希望で買い物に出かけた。

いつもは土日でも大して混みあうようなことはないのだが、何故かこの日はどこも人で溢れていた。
その人ごみを目の当たりにして、ブーンは少し戸惑った。

(;^ω^)「今日は珍しく混んでるお・・・・
     ツン、迷子にならないように・・・」

ブーンが振り向くと、ツンの姿はどこにもなかった。

(;^ω^)(ツン!?)

あたりを見回してみるが、ツンの姿が見当たらない。
まさか、少し目を離した間にツンが迷子になってしまったのだろうか?

(;^ω^)「ツンー?」

ξ゚?゚)ξ「何?」

ブーンがツンの名前を呼ぶと、すぐ後ろからツンの声が聞こえた。

(;^ω^)「あ・・・・あれ?迷子になったんじゃ・・・・」

ξ゚?゚)ξ「何言ってるの?ずっとあんたの隣にいたじゃない」

(;^ω^)「・・・・・・・ツンが小さすぎて見失ってたお」

ξ゚?゚)ξ「失礼ねー!例えはぐれてもあんたは頭一個分飛び出てるから遠くからでも見つけれるわよ!」

( ^ω^)「でも心配だお。はぐれないように・・・・」

ブーンはそう言ってツンの手をそっとつかんだ。

ξ*゚?゚)ξ「!!」

( ^ω^)「手つないでれば大丈夫だお」

ξ///)ξ「うん・・・・・・・・」

ツンが頬を赤く染めながら、ブーンの手を強く握り返した。

( ^ω^)「バス何分だお?」

ξ゚?゚)ξ「うーんとね、20時45分だって。あんたは?」

( ^ω^)「俺は52分だお」

二人は駅前のバス停のベンチに肩を並べて座った。
空を見上げると、少し雲がかかっていた。雲の隙間から星がチラリと顔を覗かせていた。

二人の手は、自然に重なり合っていた。

ξ゚?゚)ξ「ねぇ・・・・」

( ^ω^)「ん?」

ξ゚?゚)ξ「ずっと仲良くい続けるのって、難しいかなぁ」

( ^ω^)「んー・・・・・・・・・・・そんな簡単なものでもないと思うお」

ξ゚?゚)ξ「そうだよね・・・・」

( ^ω^)「でも俺はツンとずっと仲良しでいたいお。だから頑張るお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・おじいちゃんとおばあちゃんになっても?」

( ^ω^)「ずっとだお。ずっと仲良しでいるお」

ξ*-?-)ξ「うん・・・・・・」

ブーンは握り合った手をより一層強く握り締めた。

きっとツンは不安なのだろう。
今のような関係を維持できるのか、そしてまたいつか裏切られるのではないかという恐怖に怯え、あのように尋ねたに違いない。

でもブーンはツンを手放すつもりはなかったし、ツンのことを悲しませるようなことをするつもりもなかった。
ずっと、死ぬまで一緒にいたい。一生を添い遂げたい。
その気持ちは、少しずつ大きくなっていた。

その気持ちが押さえきれず、ブーンは思わずツンに唇を重ねた。

ツンと手を繋いでいるととても気が安らぐ。
自分の手におさまるほど小さなツンの手は、とても柔らかくて、そして少しでも力を入れれば折れてしまいそうなくらい繊細だった。
ずっとつないでいたい。ずっと守ってあげたい。
ブーンの心には、そんな気持ちが芽吹いていた。

(゚Д゚)「おいブーン、彼女とはうまくいってんのか?」

( ^ω^)「まぁぼちぼちだお」

(゚Д゚)「どお?あれから行った?ホテル」

( ^ω^)「まだ行ってないお」

(゚Д゚)「ええええええええええええええ
    まだ行ってねーの?てっきりもう行ったもんだと・・・・」

( ^ω^)「俺も意外と奥手だおwwwwwwwwwww」

(゚Д゚)「自分で言うな」

補充に向かうトラックの中で、ギコはタバコをくわえながら車を運転していた。

(゚Д゚)「つーかあのサボった日から何週間か経ってんじゃんよ?」

( ^ω^)「もうそんなに経つかお・・・」

(゚Д゚)「まぁ別にいーけど。大切にしてるってことなんだろ?」

( ^ω^)「・・・・そんな感じだお」

ギコはうんうん、と首を縦に振りながら、灰皿にタバコの灰を落とした。
そして再びタバコをくわえ、煙をふう~っと吐いた。

(゚Д゚)「あー俺もセックスしてぇなー」

( ^ω^)「そういえばあの時付き合ってた彼女はどうなったんだお?」

(゚Д゚)「とっくに別れたよ。お前がスーパー辞めたあたりかな」

( ^ω^)「そうかお・・・それからは誰とも付き合ってないのかお?」

(゚Д゚)「ああ。なかなか出会いがないしな」

( ^ω^)「・・・・・」

(゚Д゚)「まっ、別に欲しくて作るものでもないしな。
   今は一人の方が気楽だし」

( ^ω^)「ギコさんは結婚願望はないのかお?」

(゚Д゚)「あんまないな。
    お前は?今の彼女と結婚してーの?」

( ^ω^)「俺は・・・・・・・・・
      よく分からないお。ずっと一緒にいたいとは思うけど・・・」

(゚Д゚)「結婚なんてあくまで制度だしな。
    別に結婚しなくても充分幸せに暮らせると思うけど」

( ^ω^)「・・・・」

(゚Д゚)「けど女ってのはそうもいかないみたいだぜ。
    形あるもので証明してもらいたがる」

( ^ω^)「そうなのかお」

(゚Д゚)「価値観とか合わないとやっぱ難しいよな」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

流れていく景色を助手席を眺めながら、ブーンはツンのことを考えていた。
幼い頃から放任主義の家庭で育ち、今もほとんど両親と顔を合わせることなく暮らしている。
きっとツンはずっと寂しい思いをしてきたに違いない。
その分、家族愛を人一倍求めてきたのではないだろうか?
そして、それにともない結婚して家庭を持ちたいという願望が人よりも強いのではないだろうか。

まだ高校生のツンがそこまで考えているか分からないし、
一人でいくら考えても推測の域を出ない。

ブーンは助手席の窓のへりに肘をかけて頬杖をつきながら
次々と移り変わる風景を眺めていた。

ξ゚?゚)ξ「おまたせー」

約束の時間より少し前にツンが待ち合わせ場所にやって来た。
今日は土曜日。二人一緒の休みの日だ。

( ^ω^)「あと15分くらいでバス来るみたいだお」

ξ゚?゚)ξ「あっ、じゃあコンビニでジュース買っていい?」

( ^ω^)「おk」

今日は郊外にある大型のショッピングセンターに行く約束をしていた。
田舎の中心街はとても狭い。一日あれば余裕で全部見て回れるほどの狭さだ。
だから遊ぶところが限られてくるので、今日はちょっと遠いが郊外まで足を伸ばそうという話になったのだ。

コンビニで飲み物を買い、バス停へ向かうと、すでにショッピングセンターに直行するバスが停車していた。
二人は慌ててバスに乗り、一番後ろの席に座った。
ほどなくして、バスが走り出した。

ξ゚?゚)ξ「私、バスであっちの方行くの初めて」

( ^ω^)「俺もだお。いつもかあちゃんと車で行くお」

ξ゚?゚)ξ「郊外型が進むとやっぱ車がないと不便だよね」

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・年内には免許取りに行くお」

建物が少なくなり、周りの景色がどんどん殺風景になっていく。
田んぼや畑が多くなり、目に付くものに緑が多くなっていく。

( ^ω^)「田植えして結構経ったのかお?田んぼの稲がちょっと伸びてるお」

ξ゚?゚)ξ「あー、そういや先月田植えで休んだ人いたなぁ」

地方には兼業農家を営む家庭が多く、5月下旬になると天気の良い日を利用して田植えをする農家が多い。
家が農家の子供は、学校を休んで田植えや稲刈りをすることもあるのだ。
田植えの時期から約一ヶ月が過ぎ、少しではあるが稲が青々と伸びていた。

( ^ω^)「そういえばドクオも、ばーちゃんちが農家だからってよく田植えに行ってたらしいお」

ξ゚?゚)ξ「あー、そういえばそんなことも言ってたねw」

( ^ω^)「”気ままな俺には農家が性に合っているかもしれない・・・”」

ξ゚?゚)ξ「ちょっとwそれドクオの真似?w」

( ^ω^)「”人間よりも、自然と対話していた方がよっぽど有意義だ。自然は嘘をつかないからな・・・”」

ブーンがドクオの口ぶりを真似ると、ツンは腹を抱えて笑った。

ξ゚?゚)ξ「農家こそあいつに合わないものはないわよw」

涙目になりながら、いつまでもいつまでも笑い合った。

やがてバスは目的地につき、二人はバスを降りて店内に入った。
土曜日なので人がとても多い。この街は郊外型が進んでおり、休日ともなれば中心街よりも、
車で郊外にあるショッピングモールに出かけるのだ。
食料品、洋服、下着、家具、食器、化粧品、スポーツ用品・・・
欲しいものは大抵揃うし、歯医者や内科などの診療所や、美容院があるショッピングセンターも多くなってきた。
一箇所で用が済むというのは何よりも便利なので、利用者は中心街と比べ物にならないくらい多いのだ。

( ^ω^)「ツン、迷子になるなお」

ξ゚?゚)ξ「うん、ちゃんとついてく」

そういってツンはブーンの親指をつかんだ。
本来ならここでは手をつなぐところなのだが、ツンの手は特別小さい上に、ブーンの手は長身なだけあって人より少し大きめで、
手をつないでいるとツンの手の疲労が激しいらしいので、ツンの一番無理のないつなぎ方ということで、親指をつかむので落ち着いたのだった。

ξ゚?゚)ξ「そういえば私、生まれてきた時1800グラムだったらしいよ。
     どんだけ未熟児だったのよって感じじゃない?」

( ^ω^)「ちょwwwwwよくここまで無事に育ったおwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「そうだよねー。随分大きくなって」

( ^ω^)「・・・・・・・大きいのは態度だけだお」

ξ#゚?゚)ξ「てめぇ今なんつった?」

( ^ω^)「うはwwwwwwwwwwwwwなんでもないおwwwwwwwwwwwwwwwww
      元不良はおっかないおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「で?あんたは何グラムだったの?」

( ^ω^)「俺は3900グラムだったらしいお」

ξ;゚?゚)ξ「でかっ!初産にしては随分大きかったのね」

( ^ω^)「テラピザスwwwwwwwwwww」

ショッピングセンター内を一店舗ずつ見てまわりながら、他愛もない話をする。
ツンは興味の先がたくさんあるようで、あっちに行ったかと思えばこっちに行ったり、かなり連れまわされた。
正午を少し過ぎたところでファーストフードを食べて昼食を済ませ、午後は映画でも見よう、という話になった。

ξ゚?゚)ξ「何見る?私あんま映画って興味ないんだよね」

( ^ω^)「俺もだお。どうせビデオになったりテレビではいると思うと映画館で見る気にならないお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・まぁでも・・・・せっかくだし、ねぇ?」

( ^ω^)「とりあえず何が上映されてるか見に行くお」

二人は映画館の方へと向かった。
お昼を過ぎ、更に人が多くなったような気がした。

人通りの多い通路を肩を並べて歩いていると、どこからか小さな女の子の泣き声が聞こえた。
特に気にとめることなく歩いていると、二人が歩いている少し先に、2~3歳くらいの女の子が歩きながら大泣きしているのが見えた。

( ^ω^)(?迷子かお・・・?)

川;д;)「ママァー!ママァー!」

周りを見渡しても、その子の母親らしき人物が見当たらない。
大声で泣くその女の子を見た周りの大人たちは、”あら、迷子?”と言い合いながら通り過ぎている。
誰も、その女の子に声を掛ける者はいなかった。

ブーンはその光景を見て、周りと同じように通り過ぎようとした。

その瞬間、ツンがその子の元へ駆け寄った。

ξ゚?゚)ξ「お嬢ちゃん、どうしたの?迷子になったの?」

その女の子は立ち止まり、ツンの方をじっと見つめた。

ξ゚?゚)ξ「ママがどこか行っちゃったの?」

川;д;)「ママ・・・・・・・」

ツンはしゃがんでその子と目線を合わせると、涙をハンカチで拭き取ってあげた。

ξ゚?゚)ξ「大丈夫だよ、泣かないで。絶対ママ見つかるから」

川‘д‘)「・・・・・・・・・」

川;д;)「ママ・・・・」

ξ゚?゚)ξ「ああ、泣かないで。大丈夫だから、ね?」

ツンはそう言って頭を撫でてあげた。
女の子はこくんと頷いて、ツンの服の裾を掴んだ。

ξ゚?゚)ξ「お名前は?何て言うのか教えて?」

川‘д‘)「みなちゃん」

ξ゚?゚)ξ「みなちゃんね、いくつかな?」

川‘д‘)「3歳」

みなと名乗る女の子は、指で不器用な3を作って答えた。

ξ゚?゚)ξ「今日はママと来たの?」

川‘д‘)「ママとパパと、ゆうくん」

ξ゚?゚)ξ「じゃあお姉ちゃんがママとパパとゆうくんを捜してあげるから、一緒に行こう?」

女の子が再び頷く。ツンはにっこり微笑んで「いい子だね」と言って頭を撫でた。

ξ゚?゚)ξ「じゃあ行こう。抱っこしてあげよっか?」

ツンが軽く両手を広げると、女の子はツンの胸に飛び込んだ。
よいしょ、と勢いよく女の子を抱き上げ、ツンは立ち上がった。

ξ゚?゚)ξ「ブーン、サービスカウンター行くよ」

( ^ω^)「おっ?・・・・うんだお」

ツンが女の子を抱いたまま、すたすたと歩き出す。ブーンはそれについて行った。

ξ゚?゚)ξ「今ね、ママを捜しに行くからね。心配しないでね」

ツンが女の子に飛び切り優しい口調で声を掛けている。
こんなツンを見るのは初めてだ。ブーンは少し戸惑った。
女の子に目をやると、ツンをすっかり信用しているのか、服にしっかりしがみついて身を委ねていた。

やがてサービスカウンターにつくと、ツンはカウンターのスタッフのもとへ歩み寄った。

ξ゚?゚)ξ「すいません、このコ、1階のコムザの前で迷子になってたんですけど」

スタッフに説明した後、カウンターの前に並んである椅子に女の子を座らせた。

ξ゚?゚)ξ「みなちゃん、ここにいればママすぐに見つかるからね」

女の子が小さく頷いた。
ツンはにっこりと微笑み、女の子を頭を撫でてあげた。

ξ゚?゚)ξ「じゃあね、私もう行くからね」

ツンが立ち上がろうとすると、女の子は不安そうな顔でツンのスカートの裾をつかんだ。
ツンは再びしゃがみ、女の子に「大丈夫だから」と言った。

ξ゚?゚)ξ「ここのお姉さんがみなちゃんのママたちを捜してくれるから」

川‘д‘)「・・・・・うん」

ξ゚?゚)ξ「おりこうさんだね」

ツンは立ち上がり、スタッフに「宜しくお願いします」と頭を下げた。
そして女の子に手を振り、サービスカウンターを後にした。

ξ゚?゚)ξ「ごめんね、遅くなって」

( ^ω^)「ツン・・・・・・。ツンって子供好きだったのかお?」

ξ゚?゚)ξ「え?どっちかと言われればあんま好きじゃないよ」

(;^ω^)「ちょwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「でもさ、迷子って放っておけないじゃん。
      他の人は見て見ぬフリしてたし」

( ^ω^)「ツンのこと見直したお」

ξ゚?゚)ξ「お店にも子供来るから扱い慣れてるだけ。
      でも別にこんなの普通でしょ?」

( ^ω^)「なかなかここまでできないお・・・・・俺なら無視しちゃうお」

ξ゚?゚)ξ「じゃあ今度から迷子はサービスカウンターに連れて行きなさいね」

( ^ω^)「・・・・・・・はいお」

ツンは「それにしても3歳児って重いのね」と呟きながら、運動前のストレッチのように手首を振っていた。
ブーンはふと、以前ギコと話した会話を思い出した。

( ^ω^)「ツンは子供が欲しいかお?」

なんの前触れもなく、ブーンが切り出した。
ブーンの突然の質問に、ツンは驚いて目を丸くした。
なんて答えていいか分からないようで、口元が少しあいたままになっている。

(;^ω^)「あ、別に変な意味じゃないお。さっきの様子を見てちょっと思っただけだお」

ξ゚?゚)ξ「子供ねぇ・・・。
     正直、欲しくない。最後まで育てる自信ないし」

( ^ω^)「でもさっきの迷子の子と話してるの見れば大丈夫そうに思えるお」

ξ゚?゚)ξ「そりゃあ、迷子の対応なんてたかが5分か10分くらいだし、それくらいなら見てあげられるわよ。
     ただ、一人立ちするまで毎日24時間面倒見るのは無理」

( ^ω^)「そうかお・・・・」

ξ゚?゚)ξ「それにさ、自分の思うように育ってくれないと悲しいじゃない?
     すごく可愛がって愛情こめて育てても、学校の友達とかの影響で非行に走ったり、
     目の届かないところで他人に悪いことされたり・・・・」

ツンはきっと自分と重ねて考えているのだろう。ブーンはふと思った。

ξ゚?゚)ξ「子供は勝手に育つって言う人もいるけどさ、私はそんな単純なものじゃないと思うんだよね。
     親から受ける影響ってすごく強いし、それで子供がどうにでも変わっちゃうと思う」

( ^ω^)「・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「私はそこまで責任持てないし、育てる自信がないんだ」

( ^ω^)「そうかお・・・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「あんたはどうなのよ?欲しいの?子供」

( ^ω^)「おっ、俺は・・・」

ブーンは戸惑った。ツンに質問しておきながら、自分は子供について具体的に考えたことがなかったのだ。

( ^ω^)「俺も、あまり育てる自身ないお」

100パーセント自分の意志ではなかったが、ブーンはとりあえずこう言う他思いつかなかった。

ξ゚?゚)ξ「やっぱそう思う人は子供持っちゃいけないのよ。
      私は、もっと自信持てるようになってから考えることにする」

ツンはそう言うと、通路沿いにあるゲームセンターの中をじっと見ていた。
その視線の先には、景品にミニチュアボトルの香水が入っているUFOキャッチャーがあった。
欲しい香水でもあるのか、取ってあげようか、と思ったが、ブーンは話を続けた。

( ^ω^)「じゃあ、結婚願望はあるかお?」

ξ゚?゚)ξ「結婚ねぇ・・・・」

ツンはUFOキャッチャーから視線をブーンに戻し、少し考えた。

ξ゚?゚)ξ「結婚って、ある意味幸せの形だけど、結婚したからって絶対幸せになるとは限らないしね。
      ・・・・好きな人と一緒にいれればそれでいいかなぁ??」

( ^ω^)「そうかお」

ξ゚?゚)ξ「今日はどうしたの?そんな話題出して」

( ^ω^)「実はギコさんと・・・」

以前ギコと結婚願望の話をしたことをツンに説明すると、ツンは「なるほどね」と言いながらブーンの話を聞いていた。

ゆっくり歩きながら話をしているうちに映画館の前に辿り着いた。
上映案内のパネルを二人で眺める。

ξ゚?゚)ξ「アクションは苦手だし・・・恋愛モノは嫌いだし・・・・」

( ^ω^)「俺はファンタジーなのはちょっと・・・・」

ξ゚?゚)ξ「ああ、私も。あと洋画も好きじゃないな」

( ^ω^)「洋画は字幕見るの疲れるし吹き替えは違和感あるお。
      ・・・・・・・・で、どれにするかお?」

ξ゚?゚)ξ「今の意見を全て取り入れて、消去法で選ぶと・・・・これしかないよ」

ツンが指をさした先には、”名探偵コニャン~迷宮の三十路(サーティーズロード)~”と書かれてあった。

( ^ω^)「ちょwwwwwwコニャンwwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「あ、つーかこれ先週で上映終わってるじゃない」

( ^ω^)「ちょwwwwww意味ナスwwwwwwwwwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「上映してたところで子供にまぎれて見る勇気ないよねw」

( ^ω^)「ドクオなら余裕だおwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「あいつは特別!w」

二人はパネルの前で大笑いした。
そして、映画は諦めようという結論に落ち着き、先ほど通り過ぎたゲームセンターに行くことにした。

( ^ω^)「あと5分でバス来るお」

ξ゚?゚)ξ「良かった~。ナイスタイミング!」

帰りのバスに乗ろうとバス停に着いた頃には、すでに夜8時になっていた。

ξ゚?゚)ξ「すっかり遅くなったね」

( ^ω^)「でも楽しかったお」

ξ゚?゚)ξ「久々にたくさん遊んだ感じ。疲れた~」

時刻表どおりにバスがきた。二人は整理券を取って乗り込み、一番後ろの席に座った。

ξ゚?゚)ξ「んー、眠い」

( ^ω^)「寝てていいお」

ξ゚?゚)ξ「いや、大丈夫」

ツンは大きく腕を伸ばし、少しあくびをした。
そしてすっかり暗くなった外を見て、ポツリとつぶやいた。

ξ゚?゚)ξ「帰りたくないな・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・」

ブーンも同じことを考えていた。
普段何でもない日でもずっと一緒にいたいと思うのに、楽しく過ごした日は更に別れるのが惜しくなる。
しかしブーンには仕事があり、ツンは学校に行かなくてはならない。そんな状況の中で、ずっと二人で一緒にいることは不可能なのだ。
ブーンはいつも自分にそう言い聞かせていた。

しかし、この日は違った。

( ^ω^)「ツン、明日バイト何時からだお?」

ξ゚?゚)ξ「中番だから、午後2時からだよ」

( ^ω^)「じゃあ、朝まで一緒にいないかお?」

ξ゚?゚)ξ「!?」

ツンの顔から一瞬笑顔が消えた。
ブーンは、高まる気持ちを抑えるのに必死だった。

( ^ω^)「でも何もするつもりはないお。ただ一緒にいたいだけだお・・・」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・」

( ^ω^)「ツンが嫌ならいいお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・・・」

ツンは下を向き、真剣な顔で何かを考えていた。
バスの振動で二人の体が揺れる。バスのエンジン音が、二人の間の沈黙を埋めていた。

夜の街に、手をつなぎながら歩く二人の姿があった。
二人の間には、どこかいつもと違う雰囲気が漂っている。

( ^ω^)「無理しなくてもいいお」

ξ゚?゚)ξ「無理してないよ?全然余裕。
     あんたが何もしなきゃいい話だし」

( ^ω^)「ツンとねんねだおwwwwwwww」

ξ゚?゚)ξ「あ、その前にコンビニ行こう。旅行用のスキンケアセット買わないと」

( ^ω^)「おk」

コンビニでジュースやお菓子、そして旅行用のシャンプーセットと、ツンのスキンケアセットを買い、
中心街から10分ほど歩いたところにある「ホテル ロイヤル」へと辿り着いた。

ξ;゚?゚)ξ「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「ツン?大丈夫かお?」

ξ;゚?゚)ξ「やっぱ緊張する。初めてだし」

( ^ω^)「ツン、無理なら・・・・」

ξ゚?゚)ξ「でも入っちゃえば平気!行こう!!」

そう言ってツンは先へ進んだ。ブーンが慌ててツンについていく。
入り口の自動ドアから入ると、目の前に大きなパネルがあった。
そこには各部屋の写真が表示されてあった。

( ^ω^)「夜9時から朝11時まで宿泊タイムみたいだお。ちょうど良かったお」

ξ゚?゚)ξ「ラブホってもっと派手な部屋を想像してたけど、思ったより普通ね・・・」

( ^ω^)「ピンクとか紫の証明とか、回転するベッドがあると思ってたお」

二人が説明書きの通り入りたい部屋のボタンを押すと、部屋番号が印刷されたレシートのようなものが出てきた。
それを手にとりエレベーターに乗った。

ξ゚?゚)ξ「私、フロントで鍵を手渡されるのかと思ってた。
      私の中のイメージで定着してるラブホって、古いスタイルなのかも」

( ^ω^)「俺も、イメージしてたラブホと全然違うお・・・」

エレベーターを3階で降り、203号室へと向かう。
部屋のドアの右上にある「203」と表示されたランプが点滅していた。
ブーンがそのドアに手をかけると、カチッという音とともにドアが開いた。
そして部屋に入ると、入り口のすぐ目の前にある自動会計の機械のアナウンスが流れた。

ピンポンパンポン♪
「ご来店、誠に有り難う御座います。当ホテルでは、自動会計システムを採用しております。
 メンバースカードをお持ちのお客様は・・・・」

( ^ω^)「すごいお、部屋で会計できるのかお」

ξ゚?゚)ξ「進んでるねぇー」

ブーンはそのアナウンスを聞きながら、自動会計の説明書きを読み始めた。
そのうちにツンが先に部屋の中へ入った。

ξ゚?゚)ξ「すごーい!超綺麗!!」

淡いピンク色のベッドカバーは、パリッ糊付けされているようでとても生活感に溢れている。
大きな液晶テレビの向かいには二人掛けのソファーがあり、ソファーの隣には小さな冷蔵庫、電子レンジ、電子ポットがあり、
ティーカップやスプーン、グラスまで用意されていた。
ツンはそのサービスの良さに感心しきりだった。

バスルームを見てみると、ジャグジーつきの広いバスタブに加え、マイナスイオン発生装置があるのに驚いた。
ラブホテルとは、こんなにも設備が整っているものなのか。

やがてブーンが会計装置の説明を見終わり部屋に入ると、ツンはすでにベッドに座っていた。

ξ゚?゚)ξ「ちょっと!マジすごいよ!サービス良すぎ!!」

ツンは興奮した様子でベッドから降り、自分がたった今感動した設備の説明をブーンにした。
ブーンもその説明を聞きながら感心していた。

ひとしきり興奮し終えたところで、二人はソファに座った。
今日はたくさん歩いたし、たった今興奮したから、ちょっと疲れた。

( ^ω^)「お茶でも飲むかお?」

ブーンはコンビニで買ったペットボトルのお茶をグラスにつぎ、ツンに差し出した。
そして自分のもグラスにつぎ、ごくごくと飲み干した。
ふと、テーブルの上に新聞のテレビ欄をコピーしたものが置いてあるのに気付いた。

( ^ω^)(テレビでも見るかお)

ぼんやりと番組表を眺めながら、リモコンのスイッチを押した。
その瞬間、テレビの画面いっぱいに、男女がバスルームでお互いの性器を舐めあっている映像が映し出された。

ξ゚?゚)ξ「!!」

( ^ω^)「ちょwwwwwwwwwwww」

ブーンがチャンネルをかえようとリモコンに手を伸ばすより早く、ツンがリモコンを素早く手にとり、チャンネルをかえた。
そこには、人気のお笑い芸人が司会を務めるクイズ番組が映し出された。

ξ#゚?゚)ξ「あんたねー、今のわざとでしょ?」

(;^ω^)「違うお!テレビつけたらAVがはいったんだお!!」

ξ゚?゚)ξ「見たきゃ見れば?ただし、私の前でオナニーなんてしないでよ」

(;^ω^)「ちょwwwwwせめてもっと可愛らしく一人エッチと言ってくれおwwwwwwwwww」

ツンの機嫌が明らかに悪くなった。
ブーンはそれに気付き、慌ててコンビニの袋から菓子類を取り出した。

( ^ω^)「ツン、一緒にお菓子食べるお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・・・うん」

( ^ω^)「ツンの大好きなアポロだおー」

ξ*゚?゚)ξ「アポロ食べたい」

ビニールをはがし、箱をあけ、てのひらにチョコレートを取り出し口に放り込む。
ツンは幸せそうな表情で口の中のチョコレートを舌で転がしている。
機嫌が直ったようで良かった。ブーンはグラスにお茶をつぎ、ごくんと飲んだ。

クイズ番組が終わり、深夜に向けて代わる代わる流れるバラエティ番組をだらだらと見ながら、ふとツンの方に目をやった。
一応テレビを見ているようだが、眠いのか、まぶたが半分降りてきている。

( ^ω^)「ツン疲れたお?眠いならベッドに入るお」

ξ-?-)ξ「ん・・・・・・・・」

ツンはソファを立ち上がり、のそのそとベッドへ向かう。
そして布団に入ろうとしたところで、ブーンのもとへ戻ってきた。

ξ-?-)ξ「お風呂入る」

( ^ω^)「そうかお。じゃあ行っておいでお」

ツンはこくんと頷き、バスルームへ向かった。
ツンはまるで子供のようで、昼間の迷子をあやす姿とは比べものにならないくらいに幼く感じられた。

やがてバスルームからシャワーの音が聞こえてきた。
ブーンはその音を聞きながら、見る気もないテレビをずっと見ていた。

しばらくしてシャワーの音がやんだ。
そろそろ上がってくるのだろうか、とボーっと考えながら、バスルームの方へ目を向けた。

ところが、ツンはなかなか出てこなかった。
少し気になったが、女の子だから何か手入れでもしているのだろうと、特に気にとめることもなかった。
ブーンが目線をテレビに戻すと、バスルームのドアが開く音がした。
そこからツンが顔を少し出し、ブーンの方を見ていた。

ξ゚?゚)ξ「ねー、ブーン」

( ^ω^)「なんだおー?」

ξ゚?゚)ξ「バスタオルとってちょうだい。持って入るの忘れちゃった」

( ^ω^)「おk」

ξ゚?゚)ξ「絶対覗かないでよ!」

そう言ってツンはバスルームのドアをピシャリと閉めた。

(;^ω^)「・・・・・・・・おk」

ブーンがバスルームのドアの向かいにある洗面所の下のラックに入っているバスタオルを手にとり、ツンに声を掛ける。

( ^ω^)「ツン、バスタオルだおー」

バスルームのドアが少しだけ開き、ツンの手がそーっと出てきた。
ブーンがその手にバスタオルを触れさせると、ツンはバスタオルを掴み、再びドアをしめた。

覗いてやれば良かった、と思う反面、下手にイタズラをしてツンを怒らせるのも後々面倒かもしれない、と考えながらソファに腰掛けた。
その時、またドアが開く音がしたかと思うと、ツンがバスルームから顔を出してブーンの方を見ていた。

( ^ω^)「今度はどうしたお?」

ξ゚?゚)ξ「私、何着ればいいの?」

( ^ω^)「今日着てた服はどうしたお?」

ξ゚?゚)ξ「あの服のまま寝るわけにはいかないでしょ」

( ^ω^)「それもそうだお・・・・
      じゃあ裸のままでどうかお?」

ξ゚?゚)ξ「死ね」

(;^ω^)「あう・・・」

ブーンは仕方なく立ち上がり、洗面所へと向かった。
そしてタオル類が入っているラックを再びさぐってみると、一番下からバスローブが出てきた。

( ^ω^)「ツン、バスローブがあったお。これ着るといいお」

ξ゚?゚)ξ「バスローブ?お金持ちのイメージしかないんだけど。
     それに寝るときになんか変な感じしそう」

( ^ω^)「わがまま言うなおー。これしかないんだお。
     それにきっとツンに似合うお」

ξ゚?゚)ξ「それって誉めてるの?」

ツンはしぶしぶバスローブを受け取り、再びバスルームに閉じこもった。
ブーンはタオル類を綺麗にたたみ直し、ラックの中に丁寧に収納した。
そして洗面用具は揃っているのか確認しようと、洗面所の引き出しを開けて中を覗いているところに、ツンがバスルームから出てきた。

ξ゚?゚)ξ「あれ、何やってるの」

( ^ω^)「髭剃りが・・・」

ブーンは振り返り、ツンの姿を見て思わず言葉を失ってしまった。

白い透き通るような肌が上気してほんのり桃色に色付いている。
濡れてツヤツヤとした髪は、右耳の下あたりでひとつに結ばれていた。

ξ゚?゚)ξ「ちょっとそこどいてよ。ドライヤーかけたい」

( ^ω^)「わ、わかったお・・・」

ツンは来ていた服をソファに置くと洗面所に戻り、ドライヤーをコンセントにさし込み、髪を乾かし始めた。
なんだか急にツンが色っぽく見える。
ツンの仕草ひとつひとつに胸の鼓動を高めながら、ブーンは平静を装った。

(;^ω^)「おっ、俺もシャワー浴びるかお」

緊張を隠すかのように、バスタオルを手に取る。

ξ゚?゚)ξ「脱衣所がないからお風呂の中で服脱いでね。
       ・・・・・・・ここで脱いだら殺すから」

その場で服を脱ごうとしていたブーンに、ツンから厳しい言葉を受けた。
ブーンは仕方なくバスタオルを持ってバスルームのドアを開けた。

ξ゚?゚)ξ「シャンプーとかはそこに置いてあるから。洗顔は私の使っていいよ」

( ^ω^)「おk」

ツンから小さな洗顔フォームを受け取り、バスルームのドアを閉めた。

お湯の張っていないバスタブに脱いだ服を置き、上にバスタオルをかけた。
これで多少シャワーのお湯がかかっても平気だろう。

自分が今いるこの場所で、ついさっきまでツンがシャワーを浴びていた。
ふとそんなことを考え、ブーンはその様子をうっすらと思い浮かべた。

( ^ω^)「・・・・・・・あ」

(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・・・おっきしちゃったお」

先ほどのバスローブ姿のツンを思い出しながら、シャワーを浴びるツンの様子を想像し、露になったブーンの性器は少し上を向いていた。
この状況で性的興奮を得ない方が不自然だ、と自分を説得しながら、ブーンはシャワーのお湯を体に浴びた。

シャワーを浴び終え、体を拭き、腰にバスタオルを巻いてバスルームを出た。
ソファーに座っているツンはテレビに集中している。ブーンはドライヤーを取り出した。

髪を乾かし終わった後ツンの方を見ると、ツンの表情が明らかに怒りに満ちていた。
一体どうしたのだろう、と思ったブーンはツンのもとへ歩み寄ろうとした。
その時、ツンが鋭い目つきでブーンを睨んだ。

ξ゚?゚)ξ「ちょっと・・・・・・セクハラで訴えるわよ」

(;^ω^)「お?」

ξ゚?゚)ξ「下着くらい履きなさいよ!何よその格好は!!」

(;^ω^)「俺は風呂上りは基本的にフルチンだお」

ξ///)ξ「やだっ・・・!せめてバスローブ着て!!」

ツンは顔を真っ赤にして視線をそらしてうつむいた。
ブーンは思わず、バスタオルを取ってツンの目の前で性器をさらしてやりたい衝動にかられたが、
そんなことをしたらツンは本気でブーンの性器をナイフか何かで切り取りかねない。
ブーンは仕方なしにバスローブを着て、ツンの隣に座った。

( ^ω^)「これでおk?」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・・うん」

ブーンはほてった手でツンの手を握った。ツンの手はすっかり熱を失っていた。
ツンがブーンの肩によりかかる。ほんのりと漂うシャンプーの香りが鼻をくすぐった。

ブーンはツンを抱き寄せ、髪にそっとキスをした。
そして指をツンの顎にあて上をむかせ、唇を重ねた。

すぐに二人の舌が絡まりあう。ねっとりと、ツンの深くまで愛するように濃厚に口付け合う。
しばらく口付けあった後唇を離し、二人は強く抱きしめあった。
ツンの体の火照りはおさまったはずだが、今のキスのせいか、頬が赤く上気していた。

ブーンが再び口付けようとツンに顔を近づけると、ツンは眠たそうにあくびをした。

( ^ω^)「もう寝るかお?」

ブーンが優しく尋ねると、ツンはこくんと頷き、ベッドに向かった。

( ^ω^)「あ、ゴム用意しなきゃ」

ツンが布団に潜り込もうとしている時に、ブーンの口からつい冗談がこぼれた。

ξ゚?゚)ξ「必要ないでしょ」

ツンはその言葉を軽くあしらい、布団を軽く持ち上げた。

( ^ω^)「そうかお?」

ブーンも一緒に布団に入ろうとした時、ツンの動きが止まった。
少し何かを考えたあと、布団の上に座ってブーンの方を見つめた。

ξ゚?゚)ξ「あんたって童貞だっけ?」

突然の質問にブーンはびっくりし、慌てふためいた。

(;^ω^)「ちょwwwwwwストレートwwwwwwwwwww」

ツンが真剣な顔でブーンを見るから、ブーンも真面目に答えなきゃ、と思った。

(;^ω^)「・・・・・・・童貞だお」

ツンが、そっか、と言ってベッドの上に座ったまま、下半身だけ布団に入った。
そしてまた真面目な顔でブーンを見た。

ξ゚?゚)ξ「あんたは、私とそーゆーことがしたいの?」

(;^ω^)「・・・・・・・・・」

まさか突然こんな質問をされるとは。
全くもって予想外だっただけに、ブーンの口からすぐに言葉が出てこなかった。
ブーンが答えに詰まっていると、ツンがブーンを真顔で見つめたまま口を開いた。

ξ゚?゚)ξ「私はしたい」

( ^ω^)「!!!!!!」

きっと、すごくいやらしい話をしているのだろう。
しかし今の二人のにとっては、そして何よりもツンにとっては真剣な話だった。

ξ゚?゚)ξ「私もみんなと同じように好きな人に抱かれたい。
      きっと、すごく幸せな気分になれると思うから」

( ^ω^)「・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「でもね、今はこわい・・・。
      ブーンに全部見せるのも、ブーンを知るのもこわい。
      それに、ブーンの気持ちを受け入れられるかわからないし・・・・」

( ^ω^)「ツン・・・・・」

ξ゚?゚)ξ「でもね、ブーンが嫌いなわけじゃないよ。
      抱いて欲しいって、すごく思う」

( ^ω^)「俺はツンとそういうことだけがしたいわけじゃないお。
      セックスだけが愛の形じゃないし、それをしないからって恋人同士になれないわけじゃないお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・」

( ^ω^)「無理する必要はないお。
      俺はツンと一緒にいれれば、それだけで充分愛を感じるお」

ξ゚?゚)ξ「・・・・・ありがと」

二人の体が自然と寄り添いあう。お互いのぬくもりを確かめ合うように、抱きしめあった。

( ^ω^)「今日はいっぱい歩いて疲れたお。もう寝るお」

ξ゚?゚)ξ「うん」

二人は布団に入り、向かい合って横になった。
ツンが照れくさそうに笑う。

ξ゚?゚)ξ「あんたってすっとぼけた顔してるけど、やることはやるよね」

(;^ω^)「?何の話だお?」

ξ゚?゚)ξ「ディープキスとか、童貞のくせにどこで覚えてきたのよ」

(;^ω^)「そっ、そんなの本能任せだお」

ξ-?-)ξ「髪の撫で方とか、抱きしめ方とか、なんかやけに慣れてる感じ」

(;^ω^)「なっ、慣れてないお!全部ツンが初めてだお!!」

ξ゚?゚)ξ「ほんとにー?」

(;^ω^)「本当だお」

ξ゚?゚)ξ「まぁそーゆーことにしといてあげる」

(;^ω^)「あう」

ξ゚?゚)ξ「で、童貞ってゆーのも嘘なんでしょ?」

(;^ω^)「本当だお!俺のちんぽは未使用の新品だお!」

ξ///)ξ「ちょっと・・・ダイレクトすぎ!」

( ^ω^)「うはwwwwwwww」

ベッドの中で、ブーンはツンに抱きついた。ツンが笑いながら離れようとするが、ブーンはツンを離すまいと必死でしがみついた。
二人はじゃれあい、やがて疲れて、いつの間にか眠りについていた。

翌朝。
少し空いた窓の内戸から、眩しい朝日が差し込む。
ブーンはいっぱいに降り注ぐ光を浴び、目を覚ました。

上半身だけを起こし、ベッドの時計に目をやると7時半になる少し前だった。
眠い目をこすりながらツンの方を見ると、すやすやと寝息を立てて寝ている。

ブーンが半分寝たままツンに布団をかけてやると、ツンのまつげがピクリと動いた。

ξ-?-)ξ「ん・・・」

しまった、起こしてしまったか?
気付かれないように布団からそっと手を離すと、ツンの目が少し開き、ブーンの姿をとらえた。

ξ-?-)ξ「ブーンおはよ・・・」

( -ω-)「おはだお・・・。結局何もしなかったお。残念だお」

ξ-?-)ξ「童貞のクセに偉そうなこと言うんじゃないわよ」

( -ω-)「チェックアウトは11時だお。俺は眠いからもうちょっと寝るお」

ξ-?-)ξ「私も・・・・。
     目覚ましセットしなきゃ」

ツンはベッドの脇に置いていたバッグから携帯を取り出し、アラームをセットして枕もとにおいた。
ブーンの方を見ると、すでに布団の中でぐっすりと眠っていた。

ツンはブーンの頬にそっとキスをし、自分も眠りについた。

この後、予定通りに11時にホテルを出た二人は、ファーストフード店で遅い朝ご飯を食べた。
そして少し街を歩いた後、ツンはバイトへと向かった。

ツンとの別れ際、またホテルに行こう、という約束を交わした。

つづく
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純愛・恋愛 | 【2015-09-28(Mon) 00:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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