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其の四  湯屋のぞき

    
 其の四  湯屋のぞき  
  
 大都会の湯は、男湯、女湯の区別たヾしく、間のはめよりうかヾふ事むつかしけれど、田舎はこれ等の取締りおのづからゆるく、中にわざと穴をあけをき、互にからだを見ゆるやうこしらへをく事あれば、千摺も随意にて別段心を苦しめずとも、思ひのまヽにたのしめるものなり。されども、湯の中にからだを沈め、仕切の下などより、腰をかけをる女の内股をのぞきつヽかく事ゆゑ、気のゆき方一段ゆかず、いんすゐ洩れいづるに違いなきも、けいよう面白からず。只鈴口ぬらぬくのみ、且つ衛生上有害なるやなり。難しければ、湯の中に沈みながら試みる事は好もしからず。されば湯槽の中にてかヽんと思はヾ、なるべく板の間へ出て水槽の上より、洗ふ振りて隣りをのぞき、程よきぼヾをみてかくべし。また湯せんずりをかく者、他人の見らるヽを恐れなば、石鹸を用ふべし。然る時、人の前にてかくとき、淫水しやぼん一ツになり、よういにあらはるヽ事なし。尤も、我が外に入湯者なく、はヾかることなきときは、湯槽の中にこしかけ、女の、風呂より上りみうちを拭ふ時は、透間より股くらをのぞくべし。大抵の女、陰門をふく時は、股をひらくものなり。
 或る人曰く、湯千摺をかくには、その家の構造によりて、一概に定め難けれど、田舎風呂屋には、男女の衣類をぬぐところには仕切なく、自由にみる事得るものゆゑ、男、風呂の中の女に気をかけ、一本かヽんと思はヾ、着物をきる時など、密かに女の上りくるをうかヾひ、心を用ふべし。身うちを拭ふ時には、ぼヾを露はす妙なり。又片田舎に至れば一ツ風呂に入る事、今も昔の如し。之等は千摺も自由にて、その人の器量に任せ、随意にたのしむこと得れども、その内にて一番心地よきは、おのれ、湯の入口に沈み、またをひろげて入り来る女を、膝の上にのるようになし、うしろより油の匂ひなどをかぎかぎかくべし。気のいきかた、一きわすぐれてよし。勿論女の肌にさはらぬやう注意するが肝要なり。
     
 『小倉ミチヨ・相対会研究報告』 (ちくま文庫) 
     

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その他 | 【2023-04-28(Fri) 23:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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