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少年実話 13

もう、彼女には2度も裏切られていました。でも、
裏切られる事には馴れています。だから、大して気にも留めていませんでした。
約束を守れない本当の理由など、俺にとっては重要ではありません。
が、さすがに苛立ちは隠せず、ブッキラボウに「ナンや!」と携帯にでました。
彼女は例の如く「ごめんね。連絡しないで、お金借りっぱなしで、…。」
「別にエエよ。所で何の用?」と冷たい対応を続けると、彼女は
「今週中にお金、全額返すから…。もう一回貸して!!!」と
凄まじい図々しさで、もう、笑うしかありませんでした。
俺が笑った途端に、「まだ、前の所に住んでんの?今から行くね。」と
有無を言わさず、先手必勝とばかりに、たたみかけて来ました。
「誰から?」一緒にいた姉さんが聞くので「貧乏神。」と答えると、
笑って「アンタ、そういう子と関るのやめなよぉー。」と忠告してくれました。
1時間後、マンションにやって来た彼女は、姉さんが居る事に驚き
「マズかった?出直すよ。」と言うので、「イイよ。上がれよ。」と彼女を
招きいれました。「こんにちわ。」姉さんの挨拶には既に脅しが入っていました。
「私、やっぱ、悪いから、帰るね。」彼女はスゴスゴと帰ろうとしました。
お茶を出しながら姉さんが「あたしの事は気にしないで。」と威嚇する様に
俺の横に座りました。「2人で話したいんです。」と彼女は反撃しました。
「あっそ、じゃ、ごゆっくり~。」と姉さんは犬を連れて散歩に出かけました。

「怖いね、あの人。付き合ってるの?」と聞かれたので、頷いて
意思表示しました。早速とばかりに、「何も言わずに、60万貸して!」と
彼女の必殺技”お願いポーズ”で近寄ってきました。
「来週のいつ返すんだ?」と事務的に聞くと、「火曜日に絶対返すから!!」
と言うので、60万を渡しました。
受け取ると彼女は「サンキュウ。サンキュウ。大助かり。」と急に軽いノリになり
とっとと帰っていきました。40分後、買い物袋を下げた姉さんが帰って来て、
「アンタ、お人好しな所、治しなよ!!」とトマトをぶつけられました。
翌週の火曜日になりました。日付が水曜日に変わるまで待ちましたが
彼女からの連絡はありませんでした。携帯もご丁寧に着信拒否でした。
予想できた結末なので別に、特別な感情は沸いてきませんでした。
しかし、再会は予想外に早く、その週の金曜日に訪れました。
「見つけたよ、アンタの貧乏神。」と姉さんから明け方4時に電話があり
眠い目をこすりながら、指定されたホストクラブに行きました。
「放せよ!ババア!別に逃げね~よ!!」と彼女は暴れていました。
姉さんはその横でどっしりと座り、凄い貫禄で店長もホストもタジタジでした。
「お疲れさん。」俺が声を掛けると、彼女は直ぐに近寄ってきて
「違うの!違うの!」と「聞いて!聞いて!」を連発し、
大袈裟な身振り、手振りで必死に訴えてきました。

「早く、お金をこの人に返しなよ!」と姉さんが少しキレ気味に言うと
「来週、全額お返しします。ゴメンナサイ。」と居直った彼女が答えました。
すると彼氏らしき男が「借用書あんのかよ!!」と割り込んできました。
姉さんは「僕チャン。この子は今、金銭借用の事実を自分で認めたよ。」と
一蹴しました。「ナニ、この状況、楽しんでのよ!」と半笑いの俺に
姉さんは言いました。店の注目を浴びながら、仕方なく俺は
「別にエエよ。自分の非を認めるなら。でも、恍けるなら話は別や。」
彼女は知らん顔で子供のような”膨れ面”をしていました。
「しかも、約束を反故にした君の”来週”って期限を誰が聞くねん?」
「今、お金持ってないもん!お店に迷惑かかるから、止めてよココで!」と
彼女の一言で、俺は本性を取り戻しました。
「そうか・・・、この後に及んで、お店の心配するんか・・・」と言い、
ホストを捕まえ「僕チャン!この女のケツ持つ気あるんか?」と聞きました。
「この子に手は出させない!」ホストは、みんなと彼女の手前、大見得を
切ってしまいました。彼女は「コウちゃん!!」と目をウルウルさせ
安モンの昼のメロドラマ状態でした。「よっしゃ!男に二言はないな?」と
聞き直し、電話をかけました。勿論、街金です。
「もしもし?すぐに新宿の○○○ってトコに来てくれる?」
暫くすると「毎度!○○さん!」と趣味の悪いシャツを着て街金が来ました。

「お幾ら?用立てましょう?」と聞かれ「3本、彼女に貸してやって。」と
彼女の前に現金が積み上げられ、借用書が出されました。
「私、そんな借りてないじゃない!」と彼女は青ざめ、叫びました。
「ナニ言ってんの?今日の飲み代分も借りてあげたんだよ。」と
店長にお会計させて、伝票を持ってこさせました。
ホストのコウちゃんに「君、連帯保証人になってやれ。」と言うと
「え、ちょっと、待ってくださいよ!」と言うので、「男に二言はないよねぇ。」と
煽りました。借貸の説明を受け、2人は渋々サインしました。
その時、先輩ホスト連中が3人ほど、「許してやってくれ。」と来ましたが、
悪人モードに切り替わった俺は「ほんなら、君等が保証人になってくれる?」と
彼等に言いました。全員、ひいていました。しかし、後輩思いの
その内の一人が「調子に乗るなよ!知合い、呼んだからよ!」と息巻いて
突っかかって来ました。893が登場しましたが、街金とお友達なので
「そら、借りた金は返さないと、君達!」と5分で帰っていきました。
更に、2人にトドメを刺す為に、終始、知らん顔だった店長に
「店長、こんな、ややこしい従業員は、いらんやろ?」と言うと店長は、
「お前はクビ!今日のお客さんの分も、お前に払ってもらう。」と
3本では足りずに6本になりました。帰りがけ姉さんから、
「アンタ、マジ、怖いよ。アソコまで追い込まなくても…。」と
お褒めの言葉を頂戴して、戻ってこない筈のお金だったので、姉さんに
「旅行にでも行く?」と聞くと「遠慮しときます。」と嫌そうな顔で断られました。
その後、2人が未だに完済できていないのは予測できます。

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純愛・恋愛 | 【2017-07-28(Fri) 23:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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