引っ越ししてきたころ
私はいく美、4歳でした。
私とパパとママは、春に新しい一戸建てのお家に引っ越ししました。
新しくできた街で、駅は出来てたけどスーパーとか学校幼稚園など、まだ出来てませんでした。だから私ん家も含めて数軒しか住んでる家がありませんでした。
だからパパとママがお仕事に出たあと、私は新しいお家にひとりで過ごしていました。
ひとりで過ごしていても、パパとママが通販で頼んだもの(たいてい新しいお家のインテリア用品でした)が宅配便で毎日何度も届くので、ピンポーンが鳴ると急いで玄関に駆けつけていました。
大型連休が過ぎたころのある日、ピンポーンが鳴って急いで玄関に駆けつけてドアを開けると、若い男のひとが立っていました。男のひとは言いました。
「ママ、いる?」
「ママは……いません。」
「えー、ママに頼んでたのに困ったなぁ……」男のひとはしゃがんで、私に顔を寄せました。「お嬢ちゃん、ちょっとこっちへ来てくれる?」
私は男のひとについて、家の駐車スペースにまわりました。
私の家の駐車スペースの横には、町内のゴミ収集所になってるコンクリートブロックの囲いがあります。
その裏側へくると男のひとは小さな踏み台に座って、ズボンとパンツをいっしょに脱ぎました。
ポコチンが、べろんと出てきました。
男のひとは、ポコチンの先を指でつまんでもちあげて言いました。
「ぼく、ここに毒がたまって困るんだ。それで時々お嬢ちゃんのママに頼んで毒抜きしてもらってるんだけど……お嬢ちゃん、かわりにやってくれるかな?」
私がつっ立っていると、男のひとは私の両手を引いて近づけ、ポコチンを握らせました。
「いい?」男のひとは、私の手に自分の手をそえて、揺り動かしました。
「ギュッと握ったまま、こんなふうに動かしてほしいんだ。」
私が手を動かすと、ポコチンはいきなり私が押さえきれないほど硬くなってきたのです。
「お嬢ちゃん……すごいだろ……?」
「うん…… かたい……」
「ぼくの身体の毒が、ここに集まってきたんだ…… だけど、お嬢ちゃんがいっしょうけんめい手を動かしてくれるから、アッ…… 毒が、毒が出てくるよ……」
ポコチンの先が、ピクピクしたかと思うと、急にダラダラと真っ白なものが出てきました。
そんな真っ白いものが身体から出てくるのを初めて見たし、初めて嗅いだ変な臭いなので私はそれがホントに毒なんだと思いました。
ポコチンは柔らかくなって垂れさがりました。
「ありがとう、お嬢ちゃん上手だね。」
男のひとはそう言うと、上着からウェットティッシュを出して私の手をふいてくれました。
「このことは」男のひとは言いました。「パパやママとか、誰にも秘密だよ。お嬢ちゃんが叱られるの、ぼくはイヤだからね。」
私はうなずきました。でも心の中では(このひと「ママに頼んでた」とか言ってたのにな)なんて思っていました。
○○○
それから時々男のひとは家にやってきて、あの囲いのかげで私に毒抜きをさせていましたが、夏が近づいてきころ男のひとは、
「毒を、口で吸いだしてほしいな。」と言って、私の唇にポコチンを押しこんできたのです。
私が、ストローでシェイクドリンクを飲むようにポコチンを吸ってみると、男のひとが
「アアッ……、ち、小さい子の……吸う力って……ハンパじゃねぇな……」
と言ったとたんに、私の口に熱くて苦いものがねばねば注ぎこまれてきました。
「うぎっ!」
男のひとは私のそのようすに気づいて、
「いく美(このころには、私を名前で呼んでました)ちゃん、吐き出して!」
私はそれを吐き出しました。男のひとはそれを見て、
パチッ!
ライターでタバコに火をつけました。そしてそのタバコを私の唇に軽くつっこんできました。
私が驚いてると男のひとは言いました。
「ちょっと、吸いこんで……はい、吐きだして……」
私は自分の目で、自分の口から煙がたちのぼるのを見てドキドキしていました。
「これは毒消しだよ。」男のひとが言いました。
「毒消し……?」
「いく美ちゃんの口にぼくの毒を入れちゃったから、毒のききめを消すにはタバコの煙が一番なんだ。」
「……」私は何も言えませんでした。男のひとがタバコをずっと私の唇に当てていたからです。
私はタバコを軽く吸って煙を口の中にためては、前に吹き出していました。
今にして思えば、教わりもしないのにタバコをふかしていたのです。
タバコをふかすと、口の中に出された毒のイヤな臭いや味が、たしかにやわらぐのです。
それからも何度か男のひとは家にやって来て、私にポコチンを吸わせては、口の中に出した毒のききめをタバコで消す、なんてことをやっていました。
だけど冬が来るころには、男のひとは来なくなりました。
そのころパパが「このへんも、ちょっとガラが悪くなってきた。」と、玄関のインターホンやドアののぞき窓をカメラつきのに替えたからでしょうか。
○○○○
あれから8年がたちました。
あの男のひとのせいでしょうか。私は男子どものポコチンをなめて、やつらを言いなりにさせるようになりました。
男子どもの中には、私の口の中に毒を出してしまうヤツがいます。そんな時私はティッシュに毒を吐き出し、タバコに火をつけてふかして毒消ししてしまいます。
男子は不満そうに「セーエキ飲んでくれないのかよー」と言います。
でも、小さいころにあの男のひとに「毒」と教えられてしまった私。
これからも変わらないだろうな……。
07de2021
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