夏の日
今日は、従妹の事を話そうと思う。
従妹と初めて会ったのは、自分が小学4年生の時、従妹が2歳の時だ。
自分はお盆の帰省の時期のため、一足先に親戚の家に向かった。
行くまでに、従妹がいるという事は聞いていたので会うのが楽しみだった。
家に着いて親戚と挨拶をする。その時にこちらを見ているひとりの女の子がいた。その子が、
まさしく従妹だ。従妹は聞くところによると人見知りが激しいらしく、1時間もしないと知らない
人とは話せないそうだ。それを知っていた自分は、従妹に軽く目配せをして、寝室に向かう。
あらかじめ布団は用意されていた。「暑い暑い」と思いながら、クーラーの効いた部屋でこの年も
激闘で熱戦を繰り広げている、高校球児の戦いを見ながら、ぼーっとしていた。
そうする事何十分か。廊下の方からドタドタと足音がする。「どうせ、従妹が走り回ってんだろ」
とか思う。しかし、その足音とやらはどんどんこちらへと近づいてくる。しまいには、自分の部屋の
ふすまを開けるなり、こう言った。「お兄ちゃん、あそぼー!」と。自分は何が起こったのか、
数秒の間理解できなかった。でも、従妹と遊べることに喜びを感じた自分は、「うん」と返事をし、
従妹に手を引かれる形で、先ほど親戚とあいさつを交わした部屋へとやってきた。
そこで、自分と従妹は時間を忘れそうになる程楽しい時間を過ごした。
=====あれから6年。
今年も会えることを楽しみにしつつ、母親は用事があるらしく後で合流すると言っていたので、
父親と姉と三人で親戚の家に向かった。到着すると、待ちに待っていた親戚の家が新鮮に
思えてきた。
玄関を上がり、居間で軽く叔母とあいさつを交わす。話によると、今回のお盆にいとこ達はこの
家に帰省しているらしく、今は出かけているとの事だった。その瞬間胸が高鳴り鼓動が速くなった。
最後に従妹と会ったのは、祖母の米寿のお祝いで、去年親戚の住む県に帰省した時以来
だったからだ。
さっそく寝室に案内してもらい、荷物を整理して仏壇にお参りをしてから、
お風呂に入らせてもらった。その後、寝室に戻った自分はぼーっと時を過ごした。
-------------------------それから、数時間後
午後6時を少し過ぎたところで目が覚めた自分は、居間の方へ足を向けた。すぐ近くにある
台所では、せっせと叔母が夕ご飯の支度をしていた。
ちょうどその時、誰か女の子の声が、「ばあば、ご飯は?」と。
ちょうど帰ってきたみたいだ。