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姉ちゃんと無人島に漂着してたときの話

もう昔の話なんだけど、やっぱりおれ一人の胸に収めて置くのが辛い
王様の耳はロバの耳的な感じで書きこんで行きたい
内容には色々と問題があるから、通報とか書かれると思うんだが、そう言う人は釣りだと思ってスルーしてくれ
結構昔の話だし、ここにスレッドたてるのも初めてなんでお手柔らかにお願いします

もうかれこれ1○年前の話
当時のおれは、某社団法人の広報関連で働いてた
実家は大阪で印刷の町工場
活版印刷が絶滅で、全部コンピューターになったし、実家の工場は青色吐息だった
実家では父ちゃんが明日にでも首吊ろうかって感じだったらしい
おれは東京で彼女に振られて絶賛落ち込み中だった

姉ちゃんは実家から関西中堅広告代理店勤務、26才
今で言えば当時の姉ちゃんはスザンヌ似てる
実家の印刷屋は、姉ちゃんの引きのある仕事で何とかしのいでる状況
そもそも近所の写植屋さんもどんどん消えつつあったのでどうしようもない
しかしおれはのんびり虎ノ門で勤務

家族構成は、姉ちゃんと父ちゃんとおれの三人家族
母はおれを生んですぐに死んだ
だからおれはほとんど祖母ちゃんと祖父ちゃんに育てられた
祖父ちゃんがソ連から戦前に亡命して来て帰化した元ロシア白軍闘士なので、おれも姉ちゃんもクォーターってことになるね
そんな我が家なんだけど、おれがつまらん駅弁大に行ってる間に祖父ちゃんと祖母ちゃんが死んだ
心配だったけど、当時の社団法人ってボーナスだけは良かったから就職決めた

で、おれ24才の夏に姉から連絡が来た
無人島でキャンプをするから一緒に行かないかってことだ
おれは落ち込んでる最中だったから、それどころじゃないしまだ喪中だしイヤってこたえたんだけど、
家業の存続に関わる問題だからどうしても来いと言われた
大手広告代理店の人の誘いで、その誘いに乗って接待すれば、或いは実家の印刷業が持ち直すかもしれんってな話
そう言われたら仕方ないから、予定を繰り合わせましたよ

大手代理店の人に姉が気に入られてたらしい
その姉を気に入ってるって大手の人は、32才の係長
まあそのころの表現では所謂ヤンエグ
会社とクルーザーとリゾートマンション所有
バツイチ子ども一人有り
後に会ったらびっくりイケメン
今で言うと速水もこみちみたいな感じ
スラっとしててなんかブランド品いっぱい持ってる

なんでおれが呼ばれたのかってことなんだが、これにはわけがあった
姉ちゃんの勤め先にヤンエグが来たときに、たまたま姉ちゃんが気付かずに旅行のパンフレット見てたらしい
石垣島かなんかのやつとかプライベートビーチのやつとかなんかそんなの
それを見たヤンエグが
「○○さん、そう言う御旅行に興味がお有りですか?」
って話しかけてきたらしい
姉ちゃんは、ヤンエグのこと鼻持ちならないと思ってたらしく
「ああ、いいですねえ。家族でこう言うところに行ってみたいです」
と答えたらしい
そしたらヤンエグが
「お連れしましょうか? お父さんと弟さんでしたね。僕のクルーザーで沖縄とまでは行かないけれど、瀬戸内海の島くらいならのんびりできるところにお連れできますよ」
っと言ったらしい
姉は、困ったそうなんだが、横で聞いてた姉の後輩社員(今で言うと北川景子をヤンキーにした感じ)に
「えっー! 良いですねえ。あたしも行きたい」って大声出されたらしい

で、まあそのときのやり取りを推測してト書きで書くとこんな感じだと思う
ヤンエグ:一緒に行きましょう
姉:はあ、お父さんは工場があるからムリですけど、弟を誘ってみようかなあ?
ヤンキー景子:えー! 弟ってようちゃんですよねえ

おれと景子ちゃんは、姉ちゃんが実家に彼女を連れてきたときに会ったので面識あった

景子「ようちゃんに久しぶりに会いたいなあ。一緒に行きましょうよぉ。四人で。ダブルデートみたいじゃないっすかー

そんな感じで、話が来たらしい
ヤンエグが姉ちゃんを気に入ってるってのは周知の事実だったようだ

全くスムーズに七月下旬に休みが取れて、二泊三日の無人島旅行に出発した
大阪の実家に帰省して、仏壇に手を合わせて、縁側で勝手にガリガリ君食ってたら父ちゃんが帰ってきた
あからさまに前よりやつれてた
すまないなとは思った
姉ちゃん帰宅して来て、翌日の早朝にヤンエグがベンツで迎えに来た
すみませんねと挨拶するも、ヤンエグ真っ白な便所のタイルのような前歯で爽やかな笑顔
尼崎で景子ちゃんを拾って、一路クルーザーの係留してある神戸へ
天気は快晴

運転席にヤンエグ
助手席に姉ちゃん
後部座席に景子とおれ
景子やたらとはしゃぐ
ヤンエグ:景子ちゃんの水着はまぶしいだろうね(笑顔が光ってる)
景子:そりゃーもうヤンエグさんもようちゃんも悩殺しちゃいますよ
姉:ようちゃんはハートブレイクやからそれどころじゃないって

そんな会話の中、なんでかおれイライラ
そんでも阪神高速を降りると海が見えてくる
ちょっとイライラ忘れる
景子うみーうみーうるさい

おれ、たぶん不自然な笑顔だったのか景子に頬っぺたつままれる

ヤンエグのリゾートとマンションに到着して、やつの部屋から必要な荷物を運び出す
ベンツはマンションの駐車場に置いて、タクシーで船着き場へ行く
お待ちしてましたとばかりにおっさんがヤンエグのクルーザーへ案内してくれる
おっさんとヤンエグは何やら海図ってのを見て会議してる
天候が心配だから、昼過ぎには島に着いてくださいみたいなことをおっさんが言ってた
手でOKサインを作って、ヤンエグクルーザーに颯爽と向かう
おれ何故か景子に腕組まれてる
景子ようちゃんようちゃんうるさい
間近で見るとクルーザーって結構でかい
1200万相当のものらしい

舫いを外してクルーザー出発
船が揺れておれいきなりびびる
景子に笑われる
「ようちゃん景子がついてるから大丈夫!」なんか言われて
姉はちょっと心配そう
明石海峡を過ぎると、少し旋回して沖へ出る
なんか良く分からない陸が見えるけど、淡路島かなんかだろう
しばらく行って、なんか両側に陸が見えるところで小休止
冷蔵庫からシャンパンやらワイン出てくる
みんなで飲むが、おれだけなんか船酔いなんだか気分が悪い

何だか西の空が暗い
「あの雨雲が来るまでに島へ着きましょう」とヤンエグが言う
姉が「ようちゃん気分悪くない?」って聞いてくるが、「景子がついてるから大丈夫です」ってことで、姉は操舵室へ
甲板で景子と並んでると、「ようちゃんと旅行なんて嬉しいな。お姉さんはなんか向こうで幸せそうやし」
なんて言われる
そんなこと言われると、ドナドナみたいな気分になる
おれ、微妙な笑顔で景子と乾杯
姉心配そうにこっちチラチラ見てる
景子上半身ビキニでおれに寄り添う
肩のタトゥーが怖い

そのまま進んで、小島があるようなところに行き着いた途端に暴風波浪警報
めっちゃ船揺れて怖かった
海ってあんなにすぐに天候変わるんだな
操舵室に4人で入ったけど、揺れる揺れる
あれよあれよの間に座礁した
昔、戦艦大和かなんかが映画で魚雷受けて真っ二つになって沈むシーンを思い出した
ゆえにまず景子を甲板に追い出す
船が前に傾いたので、パニくる景子を陸のほうに向けて投げ飛ばした
姉が後ろからタックルかましてきたので、おれも海へドボン
浮かび上がったところに救命胴衣が見えたので、抱きついたままバタ足で陸へ泳ぐが、もう方向がわからん
気が付いたら足がついた
顔を見上げたら失神した景子がいた

何とか景子を抱きかかえて陸へ上がった
浜に放り投げたら景子は気がついたらしい
泣き出す景子
ヤンエグも上がってくる
「大丈夫だったか?」と景子を気遣うヤンエグ
姉を探すが、見つからないので砂浜を走り回ると、少し離れた浜に姉が打ち上がってきた
4人合流して、周りを見回すが方角がわからない
砂浜をしばらく歩くとトタン小屋があったので、そこで雨宿り
海難救助小屋らしく、少しの食料と生活用品発見
無人島であることを知る

たぶん位置的には四国にまで至らないくらい
今なら携帯電話ですぐに連絡のつきそうな場所だが、当時はもちろんムリ
小屋に島の地図があったので現在地がわかった
もう少し陸を登ると沢があるらしい
水は何とかなりそうなので、雨の中をヤンエグと容器を持って水汲みに行く
「ほんとうにすまないね。すぐ救助が来るはずだから」とヤンエグが言う
「仕方が無いですよね」と答える
水を汲んでいると、こんな状況になったのも天の助けだから、なんとかお姉さんと僕が親密になるのを助けてくれないだろうかと言うことを言われる
おれ苦笑
承諾してくれれば、実家に二千万円相当の発注を出してくれるらしい
とりあえず承諾するしかない

水を汲んで小屋に戻る
水は味見して見た限り飲めなそうではないが、一応飯盒で沸かしてからチビチビ飲むことにする
外は雨なので、屋根を作って火を沸かすのに手間取る
ライターとかガソリンはあるのだが、薪が湿っている
何とか沸かして景子に飲ませる
姉とヤンエグは脱出計画を練っているのか、二人で話している
こんなときでも泳いだ後は眠くなるので、毛布を出してきて景子とくるまってとりあえず眠る
すすり泣きを聞きながら、初日は深夜まで眠る

夜中にガタンバタンと音がしたので目が覚める
月明かりが差しているので雨はやんでそうだ
腕時計を見ると深夜一時過ぎだった
姉とヤンエグがいない
起きようとすると景子がしがみついてくるので、やんわりとふりほどいて小屋の外の様子をうかがう
そろそろと薄暗い月明かりの下を、浜へ向かってしばらく歩くと人の気配がした
カヤの草むらの向こうの少し開けたところで、何かがうごめいて悲鳴が聞こえる
「やめて!」と姉の叫び声が聞こえる
月明かりに白いものが浮かび上がって見えた
二つの棒と丸いものが動いている
暗闇に目を慣らしてしっかり見る
それは姉の両足の間で動くヤンエグの尻だった

頭がクラクラして、首の骨が折られるようだった
「やめて……おねがい」と姉が言う
その声が先の叫びよりなんだか切なそうになった
耳を澄ますと、姉の息遣いが段々荒くなってくるのが聞き取れた
その内に喘ぎ声になった
「良いか? 気持ち良いのか?」とヤンエグ
「やめて。お願い」と姉
「もう、おれの女になれよ」とヤンエグ
「イヤ。やめてお願い」と姉

しかしおれは見てしまった
姉の腰が自ら動き出すのを
少し悲しくなった
涙をぬぐった

やがて体位が入れ替わって、ヤンエグが姉の後ろに回った
素直に従う姉
「こんな気持ち良いセックスは久しぶりか?」などと聞くヤンエグ
「うん。あっあっ、うん」と返事する姉
「もっとか?」と聞くヤンエグ
「うん。あっあっ、うん」と返事する姉
「もっとって言えよ」とヤンエグ
「あっあっ、もっと」と姉

おれがっくり
もうグロッキーです

そして、あろうことか今度はヤンエグ騎乗位を要求
素直にヤンエグに跨り、自ら導く姉

「姉はエッチだね」とのたまうヤンエグ
「うん、うんっ」と返事する姉
「バカだなあ。もうヤンエグさんの女にしてくださいって言っちゃえよ」とヤンエグ
「あっあっ……、それはイヤぁ~イクっ」っと姉

そんなところへパキリと小枝を踏む音がして、「ようちゃん?」と景子の声

「中に出すぞぉ~」とヤンエグ

景子固まる
姉とおれガツンと目が合う

振り向くと景子の白い顔に黒目がちな目が見開かれている
「見るな!」と押し殺した声で景子に言い、目を塞ぐ
「きゃぁ」と短く姉が叫び、何かに塞がれる気配
「ああ、最高に良い。いっぱい出たよ。姉さんの中に」と言うヤンエグの声を背後に聞きながら、景子を引っ張って砂浜へ

おれ砂浜でガックリと膝をつく
景子おれの肩に手を置く
「どんまい!」
おれは思わず項垂れる
「お姉さんのこと好きなん?」と景子
おれ無言で頷く

しばらくすると落ち着いたので、景子に「さあ、どうやっておうちへ帰りますかねえ?」と聞く
「さあ?」と隣から景子がしなだれかかってきた
「狼煙でも上げるかなあ?」
「夜が明けてからやね」

そんな感じで初日はそのまま朝まで砂浜で二人並んで眠る

翌朝、朝日がまぶしくて目が覚める
肩口に景子の頭があった
ああ、昨夜の出来事は現実なのだなあと実感して凹む
体を起こそうとすると、景子がおれの袖をピクリとつかむ

二人で起きて、喉が渇いたねと言いあう
沢へ歩く
たぶん沢の水はそのまま飲んでも大丈夫だろうと言う話
体を洗いたいと言うので、景子を沢の小さな滝壺へ案内した
景子は水着になり、おれは上半身脱いで滝壺で体を洗う
真水がヒンヤリ気持ち良い
「なあ、あの二人あの後どうしたのかな?」と景子
そんなこと言ってると、姉とヤンエグが滝壺に登場

さも自信たっぷりに颯爽と姉を連れて現れたヤンエグが
「おはよう。君達も仲が良いね」と言う
姉は伏せ目がちだ
すごく切ない気分になる
ヤンエグと姉は、早朝に既に同じ滝壺で体を洗ったらしい
なんとなく今体を洗った滝壺の水が不潔に感じる
その後、四人で話し合って、午前中に焚き木を集めて、砂浜で救援要請の狼煙を上げることに決まった
なんとなく二手に分かれて焚き木集めに走る
昼前までせっせと焚き木を集めて、小屋に戻ると、やはり中からまた昨夜の気配を感じた
トタンの隙間から覗くと、やはり裸で汗にまみれて姉とヤンエグが絡まりあっていた
「あのようちゃんの態度ったら、笑っちゃうね。まるっきり負け犬じゃないか」とヤンエグが姉に語りかける
もう限界と言うように首を横に振る姉
ヤンエグの腰の動きが激しくなり、姉は深くヤンエグの首にしがみつく
おれはそのころ失恋の痛手からか一時的にインポになっていたのだが……
昨夜もこのときも見事に勃起してた
もう痛いほどにギンギン
隣から粘着質な水音が聞こえた
景子が左手でおれの腕を掴んで、右手で自分の下半身を触っていた
とても粘着質な水音がした
「イクぞ。また中でいくぞ~」とヤンエグ
「イヤっ! 外でぇ~!」と姉
姉とヤンエグが、一層ガッシリ抱き合って痙攣してた
二人の間で押しつぶされたようになってた白い姉の乳房がとても扇情的だった

おれはたぶんそのとき泣いてたと思う
姉とヤンエグのその後の睦言が聞こえた
「おれの女にならないって、他に好きな人でもいるのかい?」
姉は唇を噛んで頷く
「おれより良い男か?」
姉はまた頷く
「君の身近にいるのか?」
姉また頷き、「昔からずっと一緒にいる」と言う
ヤンエグおやおやと言う風情で、「乙女な部分を新発見したよ」と言って姉に口づけた
景子の手を引いて砂浜へ行き、焚き木に火を着けた
風が強くて難儀だ
風のせいか、また天候が荒れるのか船は少ない
この砂浜は、島の南側になるので、本州の反対側だ
だから、ここからでは発見されにくいかもしれない
島の北側は森と断崖絶壁なので、狼煙を上げても人影を認めてもらいにくそうだ
とりあえず単純作業に没頭しようと決めて、景子と焚き火を続けた

昼をずいぶん過ぎたころに狼煙の焚き火にヤンエグと姉が現れた
ずっと何も食ってなかったのだけれど、小屋にある乾パンとかチョコレートを食って来いとヤンエグに言われて食うことを思い出した
景子と小屋に戻ると、飯盒に湯が沸かしてあった
備蓄食品が選別されてあり、その中から二人で選んで食う
空腹はあまり感じなかった
「あの二人すっごい激しいよなあ」と景子
おれ改めて項垂れる
「お姉さんのエッチ見て勃起するとか、ようちゃんってもしかして変態?」
変態と言われればそうなのだろうな
「ねえ」
景子がまっすぐこっちを見て問う
「あたしじゃあかんの?」
まっすぐ目を見返して答える
「ダメ」

昼飯の後はなんだか景子が怒っていたので、別行動で焚き木拾いをした
とは言っても不安なのかおれから少し離れてついてくる
何度か藪と焚き火を往復したときに、姉が後ろから追いすがってきた
「ねえ、ようちゃん」
「ん? どうした?」
「あたしのこと売女と思ってる?」
おれは思わず目をそらして「そんなこと無いよ」と言った
姉の遥か後ろで景子がこちらを見ているので手招きしてやると彼女は走ってきた
「ちょっと話聞いて!」と姉がおれに抱き付いた
景子が驚いて立ち止った
姉を突き飛ばして、景子に走り寄ってその場を逃げた

滝壺まで行って景子を水の中に放り投げた
そしておれも滝壺に入って景子とキスをした
姉は遠くからこちらを見ていた

焚き火は夕暮れまで続いたけど救援無し
夜からまた雨が降る
また景子と毛布をかぶって眠る
姉とヤンエグは夜中にまたセックスをしていた

狼煙さえ上げればすぐに救助が来るかと思ったが、五日目になっても救助は来ない
出港した船が戻らなければ当然捜索隊が出るはずだが、相変わらず船は来ない
島の近くにタンカーや貨物船が通るので手を振るのだけれど、手を振り返されるだけで救助に来ない
後で考えたら、そりゃあビキニの女とレジャールックの男が焚き火しながら手を振ってもキャンプとしか思われなかったのだろうね
五日を過ぎた辺りから、夜中に姉がヤンエグのセックス要求を拒否し出した
ヤンエグが姉をなじる声が聞こえた
聞くに耐えないが口出しもできない
景子を強く抱いて寝た
強く抱くと強く抱き返してくれた
なので少し安心できた

六日目の夜に、ヤンエグがホタルを見に行こうと言い出した
沢まで暗い道を歩いていると、短い悲鳴が聞こえた
振り向くとヤンエグが景子を草むらに押し倒していた

「ちょっ! ようちゃん助けて~」と聞こえてきたので駆け寄ったらヤンエグににらまれた
「ようちゃん。君が手助けする筋合いは無いよ」とヤンエグが言う
そう言われればそうなので、思わず立ち止まってしまう
ようちゃん助けてと言う悲鳴が聞こえるが、景子は夜な夜な彼のセックスを盗み見ながら自慰に励んでいたのだ
おれにはどうしてやることもできない
逡巡していると、ガッと音がしてヤンエグのうめき声が聞こえた
姉が石を掴んでヤンエグの頭を殴った
その後勢いを取り戻した景子が岩を両手に持ってヤンエグの頭に振りおろした
二度三度振り下ろすと、痙攣していたヤンエグの体の動きが止まった
呆然と立ち尽くす姉
岩を取り落として、おれにしがみつきに来る景子
景子の頬に飛んだ返り血をぬぐってやる
ああ、どうしてこうなった?
全員パニックだった

姉はガックリ膝をついて崩れ落ちた
おれの腕の中で景子が震えている
抱え上げて(所謂お姫様抱っこで)小屋まで連れ帰る
頭を撫でてやりながら毛布にくるまって眠った
しばらくするとおれの背中に姉がしがみついてきた
暑苦しかったが、そのまま朝まで眠った

早朝に一人でヤンエグの亡骸を確認しに行った
「ようちゃんどっこも行かんとってぇ」と景子に言われたが仕方が無い
やっぱり夢でなくヤンエグは頭が割れて死んでいた
ノロノロと触りに行ってみるが、やっぱり冷たくなっている
とりあえず小屋から持ってきたシートをかける

小屋に戻ったら、姉と景子が不自然に部屋の隅に離れて黙って座っていた
死体を始末しようと提案したのはおれだ
おれ自身が面倒になるのもイヤだし、姉や景子が犯罪者にされるのもイヤだ
ヤンエグが何の罪でも無いかのように景子を犯そうとしたのと、景子がヤンエグを殴り殺したのと何が違うと言うのか
札束で横っ面を叩くように姉の体を蹂躙したヤンエグには思いのこすこともあるまい

死体の処理は問題だ
学生時代にミステリー研究会とギターマンドリンクラブに入り浸ったおれも考えた
埋めるか焼くか
焼いてから埋めるのが本来だろうが、煙が出ると言うのがこの場合逆にまずい
焼いているうちに煙に気付いて救援が来てしまうと終わりだ
穴を掘ってその中で焼くのが速そうだ
掘った穴の中に木を井型に組んで、その上に死体を置く
その上にさらに木を乗せて行ってガソリンかけて焼く
焼き終わったら埋めて終わり
穴はどこに掘るか?
砂浜なら掘りやすいが、高潮などの波に洗われて何らかの具合で露見するかもしれない
ならやっぱり山に穴を掘って焼いて埋めるべきだ
小屋にシャベルはある
森の中の開けたスペースに穴を掘り始めるが、これがかなり骨が折れる
黙々と二日間掘り続けて、二メートル近い深さで、やはり直径二メートルくらいの穴を掘った
木の根っこや石が邪魔になるときには本当に辛かった

女達に鋸で細くても良いから木を切ってもらうことにした
枝を落として棒にしてもらう
流木などの燃やせるものもすべて集めてもらう
また天候が悪くなってきた
雨がシトシト降る中で穴を掘り続けた
シベリアで塹壕を掘っていた祖父の苦労はこんなものではあるまい
夜は滝壺で体を洗ってから景子を抱きしめて眠った
背中からは相変わらず姉が抱きついてきた
むせかえるような女の匂いだった
たまに景子がおれの下半身に手を触れたが、さっぱりナニは反応しなかった

穴が完成して、木を組んでその中に燃えそうなものを放り込んでガソリンをかけた
ガソリンは小屋の中の自家発電機用に置いてあったものだ
灯油もあったので、それも使うことにする
どうせ電機があっても意味が無い
一メートル近く積み上げた焚き木の上にヤンエグの亡骸を置いた
真夏なので既にウジがわいて死臭が漂っていた
死体の上にガソリンをまいて、その上にさらに切り取った枝やら歯やら燃えそうなものを積み上げて灯油をかけた
合掌してから、穴に向かって松明を投げ込んだら盛大に燃えた
煙に気付かれないように日が暮れてから火をつけた

ヤンエグが燃えている間に、滝壺で体を洗った
何かとても悪い汚れが付いている気がしたので、服も全部脱いで洗濯した
女達も同じ気分らしく、全裸になって体を洗っていた
永遠に落ちない汚れがあるように思うが、諦めてまた景子を抱きしめて眠った
裸も見て毎晩抱き合って眠るのだが勃起はしない
今思うと夢遊病患者になったような期間だった
前の彼氏とお揃いで入れたと言う龍のタトゥーや、小ぶりで硬そうなツンとした乳房もそそるものではなかった
「ようちゃんお願い」と言われて景子の下半身を触った
ビキニの中はすごく濡れていた
彼女は嬉しそうにしていたのでそのまま眠った

翌朝穴を見に行ってみると、まだ炭が熾っていた
掘り返してやるともう一度炎が上がったので、さらに焚き木をくべて燃やした
しばらく燃やして、シャベルで死体の辺りまで掘り返してみると、燃え尽きた骨になっていたので、それを岩とシャベルで叩き潰して土で埋めた
景子がどこからか花を摘んできたので、それを供えてまた合掌
南無阿弥陀仏と唱える

死体を処分してしまえばまた遭難救助を呼ばなければならない
どうせいつかは食料も尽きて飢え死にしてしまう
狩りや畑は無理だ
動物はこの島ではネコと鳥しか見なかった
姉はあの件以来めっきり食わなくなった
弱っているようなので、小屋に寝かせて景子とおれが交代で浜に立って狼煙を上げることにした
大体二時間づつだ
魚は少し捕れたし、食べられる野草は煮て食った
浜に出ているとき以外は食料集めだ
魚は多く取れたら干物にした
何せ穀物が無いのは辛い
小屋にあった砂糖をお湯に溶かして姉には少しずつ飲ませた
姉はおれに抱き付きながら赤子のようにそれをすすった
ちょうど交代の時間に景子がその姿を見て怒り散らかしたことがあった
しかし、夜は景子を抱きしめて眠った
姉は力が無くなって部屋の隅に追いやられた

そして、ある朝、目を覚ますと姉が部屋にいなかった
びっくりして小屋の外を探そうとすると、景子がおれの腕を掴んだ
「お姉さんは一人でどっか行ったよ。あの男のお墓参りかなあ」と笑っていた
腕をふりほどいて例の穴のところに行ったが、姉はいなかった
沢のほうに行ってみると、滝壺で姉が体を洗っていた
「姉ちゃん! いきなり出て行くなよ心配するし」
と声をかけると、ビクっとして振り返った
姉は痩せてアバラが浮いていたが、元々巨乳なので、やたらとそこが目立って見えた
このときまたおれは激しく勃起していた
水辺に近づくと、姉が「ようちゃん」とつぶやいた
おれは服を脱ぎ捨てて水に入った
そして姉を抱きしめた
岸の岩に姉を押しつけて激しくキスをした
姉は「ようちゃんようちゃんあたしのようちゃんようちゃんのあたし」とつぶやいていた
水の中で姉に挿入した
「ああっうんうん。あたしは絶対ようちゃんの女」と言った
「中で出して! いっぱい出してあたしの中を洗い流してぇ!」
とかそんなことを言ってた
ずっと溜まっていたのか信じられない量の精液が出た
出た瞬間姉の中から逆流してくるくらい出た
岸の向こうで景子が冷たい目でこちらを見ていた

そのときの姉は凛としていた
景子のほうに勝ち誇ったような微笑を向けた
枝を踏む音がして、景子が走り去るのが見えた
姉と岸に上がって打ち上げられた魚のように寝転んだ
すると姉が話し始めた

手塚治虫のSF漫画なら、こう言うときは母と息子とかきょうだいでセックスして子孫を作って行く
人類は原始それが普通なのかもしれないと
そうやって離合集散したのが今の人類なのだと
裸で抱き合っているとまたムクムクきたので、もう一回水の中に入ってセックスした
今度もいっぱい出た

小屋に戻ると景子がいなかった
浜へ行くと大量の焚き木が積み上げられて、景子が黙々と狼煙を上げ続けていた
声をかけると、鼻をすすりながら「変態!」っと罵られた
「ごめんね」と言って額の煤をぬぐってやったら、抱きついてきたのでキスをした
少し塩辛かったが涙の味なのだろうと思った
焚き木が燃える横で抱き合ってしばらく眠った

陽が昇ってくると暑くなるので、目を覚まして薪をくべた
景子はもう小屋に帰りたくないと言うので、岩陰で一緒に朝飯を食った
すっかり日に焼けてガングロギャルのようになっていた
おれもたぶんインド人かなんかみたいになってたと思う
夜は景子が岩陰で眠るので、そこに毛布を運んで、おれと姉は小屋でセックスして眠った
なので、昼間はずっと景子と焚き木して食料生産に励んだ
カレンダーは八月になっていた
「もうすぐお盆やから、今の内に海水浴しとこうかあ」と景子に提案した
浮き輪もビーチボールも無いけれど、二人で海に入ってじゃれあって遊んだ
二人で海に浸かって抱き合っていると、遠くで姉がこちらを眺めていた
景子は姉を少しにらんでから、おれにとてもディープなキスをした
姉はそのとき手に持っていた焚き木を地面に叩きつけて小屋に引き返した
景子はそれを見て「ははは」と笑った
そのときなぜかおれは猛烈に勃起した
すぐに気付いた景子が、くりくりした瞳でおれの顔を覗き込んで「挿れて良い?」と聞いてきた
返事をする前にビキニを外しておれの腰に密着してきた
景子の中はきつかった
生肉をメリメリと音を立ててかき分ける感触が腰から脳に振動した

景子は声を出さない人だった
そのかわりとても切なそうな吐息を洩らす
「はっはっはっ、ようちゃんどっこも行かんとって」とか
「うんっうんっうんっ、もうお姉さんの男になったらイヤ」とかそんな感じ
まあババアになった今でもそんな感じだしな
そのときは「はあはあはあ、小屋の物資にコンドームは、はっはっはあ、無かったかなあ?」
「無いよ。困るか?」
「困るぅ……」
「やめるか?」
「……あかん」
「イキそう」
「外で出して」
「うんイク」
ここで思いっきりカニばさみ
「イクってゆったのに」
「外にしてってゆったのに」頭こつんと叩かれる
そしてフレンチキスの後満面の笑顔

「お姉さん帰る気になったんかなあ? 焚き木持って来てくれたみたいやけど」
「そりゃあ帰らんとね。こんなところおっても仕方が無いし……」
「いいや。ずっとようちゃんを独り占めできるんやったら幸せやからここにおりたいとか思ってたりしたかもわからんし」

そんなわけないが、姉ちゃんは色々ショックを受けているはずなので聞いてみることにする
何せ、セックス三昧だった相手が目の前で死んだのだ

「景子は優しいね」と言っておでこを撫でてあげると、「そんなんじゃないよ」と微笑んでいた
小屋に行って聞いてみるが、表情が明らかに怒っている
「早く救助が来るようにがんばってるよ。手伝ってくれてありがとう」
「早くようちゃんと景子ちゃんを引き放さないと困るから」
「そんなこと言うなよ」
「あんな人殺しの性悪女。あの娘のせいで金策がパーになってもうたわ。帰ってももうどうしようもない」
姉は悔しそうに唇を噛んだ

人殺しとかよく言うわと思ったが、ここで変に刺激するのもまずい
それにヤンエグは死んだけど、やつの財布と鍵束を確保してある
リゾートマンションはやつの非公式な持ち者らしく、荷物を取りにあそこへ行ったときに
見せびらかすように金庫を開けてくれたが、結構な金と証券の類が入っていた
恐らく径費流用のための濾過装置だろう
若いのに金を持ってるやつなんてそんなもんだ
それに奴さん妙な標準語を話していたが、九州かどっかの田舎の出身だそうだ
何とか露見せずに一部を奪うくらいのことはできると踏んだ
そこへこの姉と景子の著しい険悪な関係
正に地獄!

姉とねっとりキスして、手が下半身に伸びてきた
「ようちゃんお願い。あたしのようちゃんでおってぇ」
「なんでヤンエグの女はイヤやったん?」
「だってお姉ちゃんはようちゃんだけの女やもん。ようちゃんもあたしだけの男やし絶対」
なんだよそれ? おれも姉ちゃんもモノじゃないだろ
背筋が少しゾゾっとした
姉の手を振りほどいて浜へ戻った

浜では景子が必死で飛んだり跳ねたりして手を振っていた
なんかシェーとか丸とかのポーズをしているように見えたが、それはSOSの手文字のつもりだろう
おれも加わって助けを呼ぶと、ようやく船が一艘こっちに寄って来た
これでようやく二十二日に渡る遭難生活が終わることになる
船員さんに遭難していることを告げると「あんたらがそうやったんか!?」と驚いていた
結構前から捜索していたらしいんだけれど、何だかおれ達は遭難者だと思われて無かったらしい
姉を小屋から連れ出して、手荷物をまとめた
三人で漁船に便乗して、岡山まで連れて行ってもらった
そして警察の取り調べ
座礁して海に投げ出されて島に漂着したと言うことで話は合わせてあった
ヤンエグはそのときに海ではぐれて以来知らないと言うことになってる
ちょっとした地方紙の記事にもなったらしい
警察署で電話させてもらったので、実家の親父に連絡した
親父絶句で話にならず
十分労わってもらって、帰りは岡山駅から新幹線
おれは西明石で一人途中下車する

西明石から在来線での快速で須磨のリゾートマンションへ
なるべく誰にも顔を見られないように気をつける
三人で口裏合わせて、リゾートマンションに車止めてることは伏せてもらった
ガレージを見るとまだベンツが止まってた
いつかは警察に言わなければならない
部屋に上がると、金庫を開ける
何の防犯にもならなそうな金庫だ
すぐに開いた
ヤンエグが空けているところを見たのだけれど、あいつは暗証番号を口に出しながら開けていた
中には現金で百万円の札束が20束と通帳印鑑有価証券があった
ヤンエグ本人名義じゃないものと現金だけ持ってさっさと退散
通帳有価証券は4000万円分あった
姉は6000万円分のセックスをしてくれたわけだな
そう思うと勃起した

後日三人で警察へ行って証言をし直した
リゾートマンションに車を止めて荷物を運んだことをだ
それまではヤンエグの両親から連絡があったりして殊勝な振りをしておいたのだが
リゾートマンションの件を証言してからはヤンエグの横領が発覚してちょっと大変なことになった
横領額が相当だったのと、回収できない金がかなりあったのとで刑事事件になったようだ
結局警察は、事件の発端が無いと何もできないのだな
死体が見つからなければ殺人事件の捜査すら始まらない
おれ達は難なく復職したのだが、姉の会社ではちょっとした騒ぎになったそうな
「もう復帰一日目から『恥ずかしながら生きて帰ってまいりました~』って敬礼っすよお」と景子から電話で報告があった

秋が過ぎたころに、実家の親父から最近姉ちゃんの様子がおかしいから帰ってみてくれんかと連絡があった
印刷工場を経由して当座の資金は振り込んでいたので、何も姉が心配することは無いと思ったが、景子にも会いに行かないといけないので帰った
親父に聞くと、最近姉が気分悪そうにしてることが多いらしい

景子と連絡を取り合って梅田で落ち合おうと言ったら、いきなり新大阪の改札で景子に後ろから抱きつかれた
耳元で「ようちゃんようちゃん会いたかったすぐヤろう一刻も早くヤろう即ヤろう」と唱えた
びっくりしたが、姉のことを景子に尋ねてみたら「知らないよそんなん」っと素気無い
喫茶店で話していると、「やっぱ遠距離恋愛はつらいねえ。島では超近距離恋愛やったのになあ」としょげて見せる
それはそれで辛いんじゃないかと思う
とりあえず親父に呼ばれてるから実家に行こうと誘うと、景子は嫌がった
姉に会いたくないそうな
何故か聞くと、しばらく言い淀んで
「お姉さん気分悪そうにしてるとか? あれなあ、たぶん妊娠やで」
コーヒーを吹き出しそうになった
「女同士やったらわかんねん」

頭の中が真っ白になった
今妊娠が発覚するってことは計算上父親は……?

「弟が認知するとかムリやから安心はしてるけどな」
景子はエラそうにそう言った

勝ち誇ったような景子の顔を見て思った
彼女は当時22才でおれより二つ下だけれど、短大出て就職なので社会人経験はおれと同じだ
ヤンキーなのでおれより人生経験は豊富なのかもしれない
頼りがいがある
ともかく、実家へ向かって二人で歩く
途中の天六のTUTAYAで時間をつぶすと言う景子を置いて実家へ
既に姉は帰っていて印刷工場の事務所で何やら書き物をしていた
「ようちゃん!」
立ちあがっておれに走り寄る
目に涙が浮かんでいる
なぜだ
親父が「今日はもうおこうか」と言ってみんなで居室へ
「姉ちゃんどないかしたんか?」
姉はすこし唇をゆがめて「景子ちゃんにおうてきたん?」と言った
会ったと言うと、「そう」と短く言って、「お姉ちゃんな。ヤンエグさんの子どもができたみたい」と言った
親父が驚いて湯呑を落として割る

親父とおれ呆然
「私生児はかわいそうやけど仕方が無いから。こんなことになったら会社にもおりずらいやろうし、何とかこの工場を建て直さなね」
「えっ?」

親父が「ヤンエグってあの海で死んだ人か? お前は何をゆうてんねや。そんな仲やったんか?」
姉は親父をにらんで、「別に恋人やったわけでも好きやったわけでもないよ。ちょっとお金出さそうとしたら失敗しただけや」

親父プルプルしてる。なんか倒れそう。過呼吸気味
「すすす、好きでもないくせに妊娠とか生むとかお前は何をゆうてんねや!?」

正に修羅場。ああ、何と言う修羅場

「父ちゃんがアホで工場こんなんにするからやろボケ!」
姉ちゃんに怒鳴られて親父黙るがプルプルしてる

景子からの電話が鳴る
「ようちゃん? どう? 出てこれそう?」
「ムリやな。子ども生むって言うてはる」
「はあ!?」
「ヤンエグの子どもやそうや」
「ふっ……、あたし今からそこ行くわ」ガチャ

ああ、ますます修羅場に

しばらく修羅場を味わっていると、玄関でチャイムが鳴った
ガララと開けると景子が入ってきた
居間では親父と姉が口論している
「こんばんは。ようちゃんの女の景子です」と景子親父に挨拶
親父びっくり
「お取り込み中みたいですが、ようちゃんも滅多に大阪に帰ってこれないし、結婚のご挨拶に伺う機会も中々無いので来ちゃいました」

親父と姉「はあ!? 結婚?」

おれもびっくり

姉が「うるさい黙れ! そんなんちゃう帰れ」などと怒鳴る
「ようちゃんと結婚とか絶対に許さんから」

親父が呆れたように「お前にそんなこと言う権利無いやろ……」
「そうですよねえ。何を興奮しておられるんでしょうねえ、お姉さんは。男を取られるわけでもなく、弟さんが結婚して幸せになるだけやのにねえ」と涼しく笑う景子

姉テレビを抱えて景子に投げつける
やむを得ず景子を連れて逃げる

駅まで景子と歩きながら色々と話す
「どうしたもんか?」
「もうわからん。ようちゃんはどうしたいの? お姉さんがようちゃんの子ども産んだら育てる?
お姉さんと一緒に。あたしそんなんイヤ! なあ、あたしも東京について行ったらあかんかな?」

などとなって、結局その夜は東通りのラブホ宿泊
翌日景子を帰して、姉と話に行くが、産むの一点張りで話にならん
結局、翌年の梅雨時に姉は娘を産みました
その前に子どもを育てられる環境を作ると言うことで、例のヤンエグから出た二千万円を工場増設に充てた
大阪市の端っこのほうで売りに出てたカラー印刷設備付きの工場を買った
それとデザイナーを雇う
そんな具合で、その後は何とか利益が出て今では年商十億超えた
口座と有価証券は4000万円分が半額くらいで処分で来た
つまり姉のセックスは4000万円相当ってことだね
戦利金を清算しながらそんなことを言っていると、姉は怒っていたが
ちなみに生まれた娘は血液型から判断するにおれの子どもじゃないって話だった
姉はO型でヤンエグはB型
生まれた娘はB型
おれはA型

ってな話

姉が姪っ子を産むころに、おれは景子と東京で同棲を始めた
大阪の家業を手伝うって名目でよく帰って姉とコミニケーションは取ってた
いやそりゃあ妊婦プレイとかもしたけどさ
妊婦のときとか生まれてすぐなんかは景子も心配そうにしてた
大阪の代理店は姉に何も言わず辞めちゃってたしね
姉も同じくらいに大阪の会社辞めて実家専業にしてた
景子との暮らしは、よくケンカしたよ
浮気が原因でね
もちろん景子が良く他所に男作ったんだが
責めないで知らないふりをしているとそれがムカついたらしい
毎回「自分はお姉さんと今でも続いてるくせに」なんてネチネチ言われてた
でも、同棲初めて二年目くらいに景子が妊娠した
「おれの子どもかどうかわからんし、堕ろすか子どもの父親と暮らせよって言ったらおれに結婚申し込んできた
なんで、そもそも共犯者なんだし何があっても断るのもまずいから結婚しようと思ったが
やっぱり姉ちゃん猛反対

「どこの馬の骨ともわからん子どもを産もうとするような売女とうちの長男を結婚させるわけには行きません」
って言いやがった
お前が言うのかと思った
景子は認知してくれるだけでも良いから産ませてくれと言った
反対する気は無かったので認知することにした
お互い独身なのでおかしな話だし、景子の両親にもめっちゃ怒られたけど、景子が説得した
今では中学生になった息子をかわいがってくれてる
おれの子どもかどうかは、確かに顔はおれに似てロシアっぽい
血液型はおれも景子もA型で、息子はO型だから変では無いらしい
姪っ子はもう高校生になったのだが、これはおれに似ても姉に似てもそんなに変わらんから判断つきにくい
しかし、最近学校で献血したらA型だって言われたらしい
「血液型って変わるのかなあ?」と不思議そうにしていたが、そんなこともあるのかもなと言っておいた
去年、姉が体調を崩して入院したのだけれど、すぐに膵臓がんと分かって、入院してから一カ月ほどで死んだ
親父は姉の二年前にやっぱり癌で死んだので、おれは職場を辞めて大阪の家業を継いだ
姪っ子はひどく悲しんでいたのだけれど、おれと暮らし始めて落ち着いたようだ
実家にはおれと姪っ子が住んで、すぐそばに景子と息子がマンションを借りて暮らしている

姉ちゃんが入院してからの一ヶ月は何とか時間の許す限り帰阪して姉のお見舞いに行った
病室に行くと昼間は大概一人きりだし、姪っ子がいるときには姉は姪っ子を追い出した
前から思っていたのだが、やっぱりおれや姉の暮らしは不自然だ
何であねがおれの結婚を嫌がったかと言うと、おれが結婚してしまうとおれの配偶者がおれの財産の半分は確実に相続してしまうからなんだそうな
姉ちゃんは祖父ちゃんに家を守るようにずっと言われて育ったんだそうな
祖父ちゃん曰く、親父は婿養子でだらしないし、自分も祖母ちゃんの婿養子としてだらしなかったから
この家は姉ちゃんみたいなしっかりした女が守るべきだそうな
だから、姉ちゃんが良いお婿さんを取って、家業を発展させるはずだったんだって
だけど、姉ちゃんはあんまり男が好きじゃなかったらしい
ったか、あんまり恋愛なんかって想像できなかったらしい
他の色んな責任を負ってたら、そりゃあそうなるんだろうな
所謂恋愛じゃなくて、手頃で自分の扱いやすい人材を利用して行ったんだな
いまどき恋愛とかそんなこと真剣に考える大人なんかいない
そして、寂しくない大人なんかもいない
病室での姉ちゃんとは二回セックスした
死ぬのは怖いと言ってた

姉ちゃんの葬式のときに、喪主はおれと姪っ子だったので、姪っ子が位牌を持って
おれが遺影を持って霊柩車に乗った
「寂しくなったな」とおれが言うと、姪が「うん。でもようちゃんがいるから大丈夫」
「お母さんが死んだらようちゃんは、まーちゃん(姪っ子のこと)のようちゃんになるからってお母さんゆってたし」
「えっ?」
「お母さんが生きてる内はお母さんのようちゃんやけど、お母さんが死んだらまーちゃんのようちゃんになるからって」
「おれには景子おばちゃんとヒロ(息子)がいるからなあ」
「でも、お母さんが生きてるときからずっとようちゃんはまーちゃんのようちゃんやったもん」

これは遺伝か教育か
赤ん坊のころからおれによく懐いていたし、悪い気はしないけれど、なんだかなあ
いや、ぶっちゃけ嬉しいが何だか責任持てん
まーちゃんが小学五年生のときに、たまたま帰阪してて一緒に買い物してるときに初潮が来たらしくて、あのときは参った
なんか具合悪そうだったから、どうしたのか聞いたら、「来ちゃったみたい」って言った
「え?」
「初めてやけど学校で習ってるから」
「どうすれば良い?」
「薬局寄って」
と言う具合で、薬局でナプキンとサニタリーショーツを買った
女の子のことなんかさっぱりわからん
一年くらいですっかり変わってしまうしな

たまに姪っ子が、自分も弟が欲しかったと言う
何故かと聞くとなんとなくだと答える
最近では、おれの息子が近所に住んでいるので、弟のようにかわいがっているのだが、
これには景子があまり良い顔をしない
姪っ子は小さいころから、おれの膝の上が好きだったので、いつもおれと景子の間に割り込んできてたしな
妬いてんのかと思うと、景子はかわいい奴だ
姉が亡くなったときに、実家で姪っ子とおれと景子と息子で暮らそうと提案すると激しく嫌がられた
だから、近所でマンションを借りて母子で暮らしているのだが、そこへおれが通うのもなんだか妾の家へ通うかのようで変な感じだ
息子はよく実家に来て姪っ子とじゃれているので、まあ問題無い
たまに、夜中に実家に景子が忍んできて、かなりいそいそとセックスして行く
しかし、子どものいる家でセックスすると言うのはあまり良いものじゃ無いなあ
たぶん、姪っ子には何度か景子とのセックスは目撃されてるんだよな
そんなときは、しばらく口をきいてくれないし、やたらと息子にくっついておれに仕返ししてる気分ならしい
妬いてやったほうが良いのかな? こっちも

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純愛・恋愛 | 【2016-06-28(Tue) 23:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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