真夏の夜の夢[2]
私とミサキが今回の計画を立てたのは昨日の夜、私たちがお風呂に入っている時だった。私が
鏡の前でシャンプーを流していると、湯船につかるミサキは手をだらんと浴槽から出し、タオル
を退屈そうに絞りながら話し始めた。
「ねえ、お姉ちゃんってマサルのちんちん見たことあるの?」
この質問が唐突すぎて、開いた右目にシャンプーが入った。
「なによ突然。まあ、あるにはあるけど。それよりも、あーもう、痛い」
「え、ほんと! いついつ? どんなだった?」
ミサキが湯船でバシャバシャと水を立てる音が聞こえる。
「かなり昔のことよ。たぶんマサルが小学二年生くらいの頃じゃないかしら。ほら、あんたも一
緒にお風呂とか入っていたでしょ」
「えー、全然覚えてないよ。どんなだった?」
「どんなって」、私は思わず振り向き、親指と人差し指をわずかに離して見せ、「こんなだっ
た。マメよマメ」、と言った。
「えー、見たい見たい!」、ミサキはまたお湯をバシャバシャさせ言った。
「あんた、学校の男の子のちんちんとか見れるんじゃないの?」
「えー、そんなの見れないよ」
「まあ、そうか。中二にもなればそうプラプラ出すわけにもいかないものね」、そう言いなが
らしばらく笑っていたが、私にふとある考えが浮かんだ。そういえばマサルはいつからちんち
んを隠すようになったんだろう?――確か小二くらいまでは……。ある時期突然、風呂に「一
人で入る」と言いだし、私がタオルを取りに脱衣室に入るのも嫌がっていた。あいつはそうい
うことに恥ずかしさを覚えるのが人より早かったのかもしれないし、そうじゃないかもしれな
いけど、今となってはもう分からない。もう大人のちんちんになったのかな、そう考えると私
の頭には彼氏のそれが浮かんだ。いや、そこまではさすがにね。まだ中学一年生だもの。でも
ちょっとは大きくなっていると思う。毛とかも少し生やしたりしてね。