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「性虐待-男性被害者」「性的虐待をする女性」「近親相姦/性的虐待」

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 ※ 本の紹介「性虐待-男性被害者」
      
       
      
 『Smapへ
  そして、すべてのジャニーズタレントへ』
  著者:木山将吾
  出版社:鹿砦社
  発行日:2005年 3月20日 価格:¥1、200- ISBN : 4846305910
       
       
 この本は、かつてジャニーズ事務所に所属していたタレントである著者が事務所で体験した、同性による性的虐待の様子が詳しく書かれています。
 著者は十五歳でジャニーズ事務所に入りました。そして、光GENJIのメンバーとしてデビューする予定だったのですが、性行為に従順ではなくなったために、デビュー前に外されてしまったのです。
 著者はその間、社長であるジャニー喜多川氏の愛人として、さまざま性行為をさせられてきました。初めてジャニー事務所の合宿所に行ったときに、喜多川氏によって行われた「泡風呂の儀式」、大部屋でタレントの卵たちが順番に喜多川氏からされるフェラチオの儀式、そして喜多川氏が著者と行ったアナルセックスについても具体的に書かれています。芸能界デビューという甘い誘いを餌に、少年たちの性が食い物にされている実体を暴いています。
 有名なタレントたちの性的な面も具体的に書かれていて、たいへん興味深く読めるのですが、ここに書かれていることが本当であれば、これは性犯罪そのものです。なぜ警察が動かないのか不思議ですが、ここに男性被害者に対する偏見の一端を見る思いがします。もしこのような扱いを受けているのが少年たちではなくて、少女だったら世間はどう反応するでしょうか。
       
       
       
       
『ぼくの話を聞いてほしい
  児童性的虐待からの再生 講談社+α文庫Y838』
  著者:クリスティアン・D・イェンセン
       
       
 この本は、デンマーク人である著者が少年のころに受けた性的虐待について書いた体験談です。
 著者は九歳の時に、三十歳の独身の男性と仲良くなったのですが、彼はもっぱら少年を相手にする小児性愛者だったのです。著者は夜に裸で彼と同じベッドで寝て、彼のオナニーの手伝いをさせられます。著者自身も彼からペニスをいじられてオーガズムを体験させられます。しかし、著者は彼との性行為が嫌で嫌で、さまざまな抵抗を試みるのですが、結局三年間に渡って自分の身体を利用されることになったのです。
 この男との関係を両親に告白することで虐待は終わったのですが、その後も性的虐待の影響は色濃く残って、さまざまな症状が出現するのです。そして、著者は堪えがたい不安感を解消するために、行きずりの女性たちと手当たり次第にセックスしていったのです。
 やがて著者は自分の抱えている問題の深刻さに気付いて、加害者の男性を警察に告発して裁判に持ち込んだり、セラピストから精神分析的な治療を受けたりします。治療の過程で、著者は自分の過去を振り返り、少年のころに受けた性的虐待が、いかに大きく人生を支配していたのかということを、少しずつ理解して行くのです。そして、本当の自分を少しずつ取り戻して行くのです。
       
       
       
       
『少年への性的虐待
  男性被害者の心的外傷と精神分析治療』
  著者:リチャード・B・ガートナー
       
      
 少年のころに性的な虐待を受けたことのある男性に対する、精神分析的な手法による治療と回復について書かれています。アメリカでも高い評価を得ている本です。
 この本は専門書です。読者対象としては男性被害者の治療に携わっている専門家の方たちや、ある程度の知的な理解力を持った人たちを想定して書かれています。
 内容的には、非常に優れたものになっていまして、翻訳者も書いているのですが、ただ単に少年への性的虐待の問題だけではなくて、ジェンダー、セクシャリティ、再男性化、心的外傷、解離、精神分析療法のありかた、などについて最新の理論が紹介されていて、まさに目からウロコが落ちるような思いがします。ですので、他の分野の人が読んでも、この本から得るものが大きいのではないかと思います。
 少年のころに、母親や他の女性たちから性的な虐待を受けた男性と、父親や他の男性たちから性的な虐待を受けた男性の、それぞれの精神的な問題を扱っています。男が被害者になるはずがないという社会的な偏見の問題。男性の被害者と女性被害者にみられる共通点と、決定的な違い。大人の女性から性行為をされることで、自分の男性性に疑いを持ってしまう問題。男から性行為をされることで、同性愛になってしまうのではないかという恐怖を抱いてしまう問題。そして、性的虐待を受けたことと、同性愛指向とは別の問題であるということ。心的外傷と、多重自己の問題。人間関係での親密性の問題や、激しい怒りの問題。こういった問題について、深い洞察と、最新の考え方が書かれています。
 著者は百名にのぼる患者を治療した経験から、具体的な事例をあげながら解説しています。虐待場面でのおぞましいような性行為の内容も書かれていますので、虐待を体験した人は、過去の記憶が生々しくよみがえってくるかも知れませんし、分析的な説明によって新たな自己洞察を得られるかも知れません。専門家のみなさんにとっても、治療に際して直面するさまざまな問題について、事例をあげながら具体的に詳しく論じられていますので、非常に参考になるはずです。分厚い本ですが、専門家のみなさんや男性被害者のみなさんに、ぜひ一読をお勧めします。
 原書名:Betrayed As Boys
 なお、近いうちに、一般向けに書かれた本がアメリカで出版される予定です。
       
       
       
       
『Beyond Betrayal
  Taking Charge Of Your Life
  After Boyhood Sexual Abuse』
  著者:Richard B. Gartner
       
       
 この本は、少年のころに性的虐待を受けたとこのある男性被害者について書かれた一般向けの本です。
 加害者には、男性が加害者となるケースと、女性が加害者となるケースがあります。私は最初、加害者の性別が違うと内容もかなり違ってくるので、別の本として分けて書いた方がいいのではないかと思ったのですが、読んでみると、異なっているとは言え、違った角度からの自己洞察を得ることが出来ましたので、結果的には大変良かったです。
 今まで、男性被害者の問題は正面から取りあげられることがあまりなかったので、もしこの本が翻訳されたら、日本でも注目されることになるでしょうし、この分野に対して影響を与えることになると思います。
 一般には、そもそも男性が性的な被害者になるはずがないとか、女性が加害者になるはずがないとか言った、間違った神話があるようですが、この本ではこれらの神話について実例を挙げながらひとつずつ否定していきます。そして、男性被害者が抱える特有の問題として、男らしさの問題を取りあげていきます。もし女性がレイプされても、自分が女性であることを疑うことはないのですが、男性がレイプされたときには、自分が女性のような扱いを受けたことによって、自分が男であることへの疑いが生じてくるのです。自分は男ではなくて女性にされてしまったのだろうかという疑問と、自分はゲイになってしまったのだろうかという恐怖感にとらわれるのです。そして、男は男らしくあらねばならないという社会的な役割に適応できずに、さまざまな心の問題を抱えることになるのです。
 それと同時に、親やほかの大人から、自分の身体が利用されて搾取されてしまったという、深刻な「裏切り」から来る不信感。親密な人間関係を作ることが出来なくなってしまう問題。少年のころの体験と向き合うことが出来ずに、薬物に手を出したり、同性や異性との見境のない性行為を繰り返したりする問題。忌まわしい過去の体験を解離させることで環境に適応しようとする問題など、いろいろな問題が取りあげられています。
 精神分析「的」な視点から書かれているのですが、難しい理論のようなものはまったくありません。虐待の具体的な内容や、その後の影響などについて、たくさんの事例が書かれていますので、虐待された過去を持つ人にとっては、自分と重なる部分を見いだすことになるでしょう。
 内面的な洞察に優れたものがあるのですが、やはりこの問題は根が深いものがありますので、本の終わりの方では治療を受けることを勧めています。
(この本の著者は、専門家向けに上記の「少年への性的虐待」という本を書いています)
       
       
       
       
『Come Here
  A Man Overcomes the Tragic Aftermath of Childhood Sexual Abuse』
  著者:Richard Berendzen and Laura Palmer
       
       
 著者のRichard Berendzen 氏は、テレビのニュース番組に宇宙関係の解説者としてときどき登場する、アメリカでは有名な天文学者です。
 しかし、著者には少年のころに性的虐待を受けた体験があったのです。八歳のころに両親の性行為を目撃し、そのとき母親から「 Come here 」と言われて、三人での性行為をさせられました。十一歳のころに、またもや母親から「 Come here 」と言われて二人でセックスをしました。そして、その後数ヶ月間にわたって断続的に母親と性交をさせられたのです。
 母親との性行為は突然理由もなく一方的に終わったのですが、著者はその後勉学に励み、天文学者になります。やがてアメリカン大学の総長となり、大学の経営を立て直し、教育のレベルを高め、優れた大学へと改革していったのです。
 ある日、父親の葬儀で帰郷したとき、突然過去の記憶がよみがえってきてパニックになりました。そして、この時から少しずつ精神のバランスが崩れていったのです。やがて著者は大学の執務室から、たびたび匿名のワイセツ電話をするようになり、警察もこの電話の発信源を調べ始めました。そして、警察の動きを知った大学の理事たちに追求されて、著者は事実を認めました。そして、外部には本当の理由を伏せたまま、突然大学を辞任することになったのです。有名人の不自然な辞任に周囲は騒然となり、マスコミが大きく取りあげました。
 著者は世間から身を隠し、ジョンホプキンス大学の精神科に入院して治療を受けます。そして、そこでは過去のトラウマを直視するように迫られたのです。しかし治療を受けている間に、マスコミが辞任劇の真相をかぎつけ、大々的にスクープしたのです。これで著者は地位も名誉も、生きて行く希望も失い、精神的に破滅的な状態に陥って行きます。
 しかし、著者はここから這い上がって行ったのです。泣いたり叫んだりしながら、繰り返し、繰り返し、性的虐待の体験と向き合い、自分の惨めさや傷つきやすさと向き合い、絶望感と格闘し、やがて生きて行くために必要な「希望」を少しずつ手に入れてゆくのです。  やがて著者は、マスコミが注目する中で裁判に出席して判決を受けます。かつて出演していたニュース番組にも潔く出演して、自分の行為を謝罪し、少年のころに性的虐待を受けたことを告白し、治療について説明します。その後、鬱状態が戻って来て苦しんだりしたのですが、やがてそれも回復してきて、NASAの宇宙計画の作成に携わったり、子供の虐待の問題と取り組んだりします。そして、念願だった大学の教壇へも戻り、かつて出演していたニュース番組にも、以前のように解説者として出演するようになったのです。
 この本を読んで感じることは、ワイセツ電話という不祥事にもかかわらず、奥さんや子どもたちが全面的に著者を信頼しているという、その信頼関係の素晴らしさです。著者が窮地に陥っているときに、家族の人たちから幾度となく「I am with you.」という言葉が出てくるのです。そして、このような恵まれた支持的な人間関係もさることながら、著者が自分と向き合ってゆく、その真摯な勇気にも感動しました。この本を読みながら、私は幾度となく涙を流しました。
 古い本で、アメリカでも絶版になっているようなのですが、優れた内容だったので紹介しました。入手は今のところ古本のみになります。
       
       
       
       
【引用】
       
       
       
       

 ※ 本の紹介「性的虐待をする女性」
       
       
       
       
 『Female Sexual Abuse of Children』
  Edited by Michele Elliot
       
       
 女性による性的虐待は、男性の加害者よりもはるかにタブー視されています。なぜならば、か弱い女性がそんなことをするはずがないという思いこみや、母親が子どもに性的ないたずらをするはずがないという母性神話に基づいた偏見などにいろどられているからなのです。ですので、女性による性的虐待はきわめて希なケースとされてきたのです。しかし、最近の研究によって、どうやら男性の加害者ほどではないにしても、相当の数の女性の加害者がいるのではないかと推定されるようになってきたのです。
 この本では、母性神話などがもたらす強烈な偏見や、その偏見が被害者に与える心理的影響の問題などについて、具体的な事例や、調査に基づいた数字などをあげながら解説しています。そして、治療のあり方や注意点などについても解説しています。
 この本の後半には、体験談がたくさん掲載されています。幼いころに母親から性的ないたずらをされたり、性的な虐待を受けてきた女性たちのケース。同じように、幼いころに母親などから性的ないたずらや虐待を受けてきた男性たちのケースが紹介されています。最後に、被害者のためのセルフ・ヘルプのアドバイスなどが書かれています。
       
       
       
       
『Abused Boys
  The Neglected Victims of Sexual Abuse』
  by Mic Hunte
       
       
 この本は少年に対する性的虐待の問題を取り上げているのですが、特に女性の加害者の問題について詳しく説明しています。まず、性的虐待の定義から書き始めているのですが、どのような行為が虐待になるのかということについて、具体的で分かりやすい例をあげながら丁寧に解説しています。そして、なぜ男性が「被害者」になるのかという問題を取り上げています。少年の場合には、大人の女性から性的なことをされたら、それは良いことであり、性的な手ほどきを受けたのだから感謝すべきである、というような誤った受け止め方が蔓延しているのです。そして、被害者自身もこのような誤った受け止め方をしてしまうことが多いのですが、このような考え方は、まったくの間違いなんだということを、具体例をあげながら、なぜそれが虐待になるのかということについて、分かりやすく解説しています。そして、子どものころに性的な虐待を受けた人が、成長してからどのような影響が生ずるのかということについても解説しています。そして、回復のためのアドバイスも書かれています。(アダルト・チルドレン系です)
 この本の後半では、たくさんの体験談が紹介されています。子どものころに祖父からフェラチオを強制された人、十四才のころに毎晩母親と一緒に寝ていて、性交には至らなかったものの、抱き合ったりキスしたりして、夫の代用品として利用されていた人など、いろいろなケースが登場します。このような被害者たちは、大人になってから薬物中毒、セックス中毒、セックス恐怖、人間関係や夫婦関係がうまく行かないなどの、さまざまな心の問題を抱えて苦しんでいるのです。
       
       
       
       
『Women Who Sexually Abuse Children
  From Research to Clinical Practice』
  by Jacqui Saradjian : in association with Heiga Hanks
       
       
 この本はなかなかの力作です。自分自身の子どもなどに対して、性的いたずらや性的虐待をして、法的な措置を受けた五十人の女性を統計的に細かく分析しています。
 まず、女性たちを三つのグループに分けています。子どもが幼いうちから性的いたずらをしていた女性たち(14人)。思春期以降の子どもに性的いたずらをした女性たち(10人)。夫に強制されて自分の子どもに性的いたずらをした女性たち(12人)。そして、この三つのほかに、比較対照群としての普通の女性たち。これらのグループを様々な角度から分析して、その特徴を描き出していきます。
 そのほかに、上記のグループに分類できないケースとして、夫と共謀して自分の子どもに性的いたずらをした女性(2)、夫を強制して子どもに性的いたずらをさせた女性(1)、精神病の女性(3)、解離状態のときに性的いたずらをした女性(2)、子どもの性的境界を侵していた女性(3)、悪魔崇拝の儀式に参加して子どもに性的虐待をした女性(4人)、などについても取り上げて、それぞれ問題点を詳しく分析しています。
 最後の方で、女性たちへの治療の進め方や、転移や逆転移の問題なども取り上げています。そして、治療がうまくいった三つの事例を紹介しているのですが、読んでいて心が救われるような思いがしました。なかでも、自分の二人の娘を巻き込んで、夫と家庭内乱交をしていた母親が、治療を進めていくうちに、幾重にも重なっていた転移が、ひとつずつ明らかにされていって、やがて、本当の自分に出会うことが出来て立ち直っていく、という事例が非常に印象的でした。
       
       
       
       
 『Mother-Son Incest
  The Unthinkable Broken Taboo
  An Overview of Findings』
  著者:Hani Miletski、 M. S. W.
       
       
 母親と息子の近親姦に関する文献調査の結果をまとめた本です。極めてたくさんの調査資料の中から、母親が息子に対して行う性的な行為をピックアップしています。調査によって得られた数字や、調査資料の文献リストなどがたくさん記載されていますが、全部で四十ページくらいしかない本ですので、本というよりはパンフレットといった感じです。
 全体的に言えることは、かつては極めてまれなケースとされ、精神異常者のやることとされていた母親による性的な虐待は、最近の調査によりますと、これはかなり広く見られる現象ではないかということです。研究者によって数字のばらつきがあるものの、女性による性的虐待は、男性による性的虐待に匹敵するほどの出現率をもつのではないかとも思われますので、今後のさらなる調査研究が必要と思われます。
 なかでも、私が非常に興味を持ったのは、男性のレイプ犯に対する調査報告です。なんと彼らの五十九%が、かつて女性から性的ないたずらを受けたことがあるというのです。この数字をみると、もしかしたらレイプ犯は女性によって作られるのではないか、と考えてしまいます。これは私の思いつきでしかありませんが、レイプ犯たちの歪んだ価値観というのは、幼いころに女性から受けた性的な屈辱から来ているのかも知れません。そして、その復讐としてレイプを行い、そうすることで、なんとかして自分の性的な優越感を取り戻そうとしているのではないか…と考えてみると、彼らの逸脱した思考もなんとなく理解できるのです。
 とはいうものの、必ずしも女性から性的ないたずらをされた男性のすべてがレイプ犯になるわけではありません。いずれにせよ、さらなる研究が待たれるところです。
 末尾には、調査した大量の文献のリストが掲載されています。
       
       
       
       
【引用】
       
       
       
       
       
       
       
       
 ※ 本の紹介「近親相姦/性的虐待」
       
       
       
       
『子どもと性被害  集英社新書0095』
  著者:吉田タカコ
       
       
この本では、著者が取材した実例などをあげながら、近親姦や性的虐待について、把握しておくべき様々な問題点を解説しています。わずかではありますが、女性の加害者の問題にも触れている点が評価できます。
 この本の特徴は、回復や、予防のための教育などについて、たくさんのページを割いて解説していることでしょう。福祉関係者や、教育関係者向けの解説書としていいのではないかと思います。
 被害者によっては、サバイバー(生存者)と呼ばれたり、ウォリアー(戦士)と呼ばれたりすることに、憤りを感じる人もいるのだということがよく分かります。そして、著者は、日本で行われている、肝心の性交そのものについては教えない、ゆがんだ性教育の問題を指摘しているのですが、日本人の国民性を考える上で興味深いものがあります。
       
       
       
       
『父-娘 近親姦
  「家族」の闇を照らす』
  著者:ジュディス・L・ハーマン
       
       
 この本は、「心的外傷と回復」の著者として有名なジュディス・ハーマンが、それよりもずっと前の1981年に書いた本なのですが、最近になってやっと翻訳されました。
 彼女がこの本を書いたころのアメリカは、近親姦を扱った本が出版されるようになって来て、この問題が注目されつつあったとはいえ、まだまだ誤解と偏見が渦巻いていましたので、そういった偏見を打ち破るべく、強い意気込みと同時に、多少ムキになって書いているような面もうかがえます。しかし、このような近親姦に関する誤解と偏見は、今の日本の現状そのものでもあります。
 この本では、父親と娘の近親姦を扱っているのですが、被害者たちの生の声が随所に引用されていますので、彼女たちの内面を知ることが出来ます。また調査による統計的なデーターもたくさん使われています。内容的には、近親姦に対する誤解を指摘して、加害者の特徴や、母親の位置付け、被害者の後遺症の問題、そして治療や予防について書いています。付録として、アメリカの各州の近親姦に関する法律を掲載しています。
 補遺として、二十年後に加筆された一文が掲載されています。ここには、近親姦が記憶過誤によって捏造されたものであると主張する人たちへの反論が含まれています。
 この本を翻訳したのは、アダルト・チルドレンで有名な斎藤学氏なのですが、その斎藤氏が、自分で調査した児童期における性的虐待のデーターを末尾に掲載しています。
       
       
       
       
『近親姦に別れを
  精神分析的集団精神療法の現場から』
  著者:R.C.ガンザレイン、 B.J.ビューリク
       
       
 この本は専門書です。近親姦の治療では、セラピストが逆転移とどう向き合うかというのが大きな問題となってきますが、この本では、この逆転移の問題に多くのページを割いています。精神分析的な集団療法を中心として、セラピストが直面するさまざまな問題点を洗い出しています。そして、患者の内面にひそんでいる、非常に複雑でダイナミックな葛藤や、さまざまな行動化などについても描き出しています。
 フロイトが、心的外傷説を放棄したかのように誤解されていることについても触れています。
 近親姦の治療のあり方を考える上での必読書として、専門家のみなさまに推薦します。
       
       
       
       
『近親相姦
  症例とその分析』
  著者:スーザン・フォワード、 クレイグ・バック
       
       
 この本は、近親相姦の問題について総合的に書かれています。なぜ近親相姦がタブー視されるのかという問題から始まって、近親相姦の犠牲者の苦しみ、加害者によくあるパターンなどを紹介しています。そして、近親相姦の、あらゆる組み合わせについて、具体的な症例を挙げながら説明しています。二十年前の本ですが、症例の中には、幼いころに性的虐待を受けて、多重人格になってしまった婦人のケースなども紹介されています。
 少し古い本ですが、近親相姦に関する代表的な本のひとつとなっています。
       
       
       
       
『ブロークン・タブー
  親子相愛の家族病理』
  著者:B.&R.ジャスティス
       
       
 この本も少し古い本ですが、近親相姦に関する総合的な解説書として、代表的な本のひとつとなっています。近親相姦が発生する状況を分析し、近親相姦がもたらす結果について解説しています。そして、近親相姦が発覚したときの、周囲の人の対応方法や当事者に対する治療方法についても説明しています。全体的に、具体的なケースを取り上げながら、分かりやすく解説しています。
       
       
       
       
『誰にも言えなかった
  子ども時代に性暴力を受けた女性たちの体験記
  著者:エレン・バス ルイーズ・ソーントン
       
       
 幼いころに性的な虐待を受けた人たちの、生の声が収録されています。アメリカの被害者たちの声が、この本によって日本で初めて紹介され、大きな反響を呼びました。たくさんの人の体験記が掲載されています。父親に犯された人だけではなくて、親戚の人から、知人友人から、見知らぬ人などから、幼いころに受けた性的な暴行の事が書かれています。このような出来事が、心にどれだけダメージを与え、被害者たちがいかに苦しみ続けてきたのかということが、その生々しい言葉を通して理解できます。
       
       
       
       
『セクシャル・アビューズ
  家族に壊される子どもたち 朝日文庫』
  著者:山口遼子
       
       
 肉親から犯された被害者たちの、深刻な体験記が全部で六つ掲載されています。そして、性的虐待に関する説明、性的虐待の影響と後遺症、防止策と支援システム、関連する法律、などについて解説しています。
 末尾に、大学院で心理学を専攻していた女性が、催眠術の実習で突然赤ん坊のころに父親に性器をもてあそばれていた記憶が甦って来る体験記が掲載されています。なんと彼女は十才になるまでの間に、実の父親、叔父、その友人、隣のおじさん、小学校の教師、と少なくとも五人の大人と性交していたのでした。甦った記憶によって、彼女は精神的に打ちのめされてしまい、絶望の淵をさまよいますが、やがて癒しのワークによって立ち直っていきます。短い文章ではありますが、苦しみにのたうち回り、泣いたり叫んだりしながら回復していく有り様は、同じような体験を持っている人にとって非常に参考になることでしょう。
       
       
       
       
 『密室の母と子』
  著者:川名紀美  
  出版社:潮出版
       
       
 朝日新聞に連載されて大きな反響を呼んだ、母子相姦に関する特集記事を、一冊の本にまとめたものです。「ダイヤル避妊相談室」に寄せられた近親相姦に関する相談の中の、母子相姦に焦点をあてて取り上げています。いわゆるセックス通話者による電話とは違って、録音された会話はまじめな少年たちの声なのです。収録された会話からは、息子の性を食い物にする、加害者としての母親たちの姿が浮かび上がってきます。相談者の中には、いけないことをしているのだという罪の意識を持っているケースや、母親からの性的な干渉に嫌気がさしている場合もありますが、母親に完全に呑み込まれてしまい、「お母さん以外の女の人とセックスするなんて、気持ち悪くて」、というように、性的な自立が根こそぎ奪われてしまっているケースもあります。究極のマザコンでしょうか。
       
       
       
      
『強姦する父
  娘への性的虐待』
  著者:バルバラ・カーフマン、イングリット・ローシュテーター
       
       
 ドイツで書かれた、父-娘間の性的虐待に関する本です。十数人の被害者たちに、長期間のインタビューを行い、そこから父親による性的虐待の実体を描き出しています。著者が被害者意識に凝り固まっている部分が多少気にはなりますが、被害者たちの生の言葉がたくさん引用されていますので、その悲惨な心理状態が読者の心に伝わってきます。また、この本では、小児性愛者たちが自分たちの行動を正当するためにおこなっている自己主張をひとつずつ取りあげて、その間違いや欺瞞性について指摘しています。
       
       
       
       
『汝わが子を犯すなかれ
  日本の近親姦と性的虐待』
  著者:池田由子
       
       
 客観性を重視しようとする姿勢からでしょうか、相談機関に寄せられた近親姦の事例をいくつか取り上げて解説したり、さまざまな調査による統計的なデーターをたくさん引用しています。その一方で創作作品である小説などに描かれた近親姦もたくさん取り上げて分析しています。
 この本の特徴は、父と息子の同性愛による近親姦の事例を6例もあげていることでしょう。もともと父と息子の事例は少ないのですが、よくこれだけの事例を集めたものだと関心します。しかし、その一方で母と息子の事例については、たったひとつだけ事例をあげた後で、「母と息子のインセストは存在するのか?」ということで、いろいろな点で疑問があると書いているのです。なお父と娘の事例は9例扱っているのですが、まあなんというか、こういう著者の感覚は、いったい何を意味しているのだろうかと、いろいろと考えさせられてしまいました。
       
       
       
       
 『近親相姦に関する研究』
  著者:久保摂二
  論文の受付日:1957年9月25日(昭和32年)
  学術誌「広島医学」第五巻第十二号に掲載
       
       
 古い論文ですが、貴重な資料ですので紹介しておきます。
 これは日本で初めて行なわれた、近親姦に関する調査をまとめたものです。論文では最初に、当時の知見による近親姦に関する総合的な解説と分析を行ない、その後で調査の結果として得られた36例について解説しています。この調査は広島県と島根県における施設収容者や、各種の相談機関で扱われたケースに対して行なわれたもので、可能な限り当事者に面接を行なっています。各事例については、家族構成、家庭環境、知能指数、クレペリン検査、相姦行為の経緯、事例の考察などが書かれています。そして、最後に調査結果全体の統計的な考察を行なっています。
 なお事例の内訳は、父と娘15例、母と息子3例、きょうだい15例、その他3例となっています。悲惨なケースが多いです。
       
       
       
       
【引用】
     

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